不動産収入を得ている専業主婦の方でも、一定の条件を満たせば「小規模企業共済制度」に加入することができます。本記事では、不動産収入のみの方が小規模企業共済に加入する要件や、加入後の節税効果、さらに控除額が収入を超えた場合の扱いまで、わかりやすく解説します。
小規模企業共済に不動産所得者は加入できるのか
小規模企業共済は「個人事業主」または「会社の役員」などが加入対象となっています。不動産収入のみでも、税務署に開業届を提出し、個人事業として事業的規模(概ね5棟10室基準)で行っていると認められれば加入対象となります。
質問者の方はすでに開業届を提出しており、令和8年から青色申告予定ということで、事業的実態があると判断される可能性が高く、小規模企業共済への加入資格があると考えられます。
掛金の上限と控除額の関係
小規模企業共済は、掛金を全額「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除できます。掛金は月額1,000円~70,000円まで1,000円単位で自由に設定可能です。
控除対象となる金額は、iDeCoや生命保険料控除、医療費控除などと合算され、総所得から差し引かれます。質問者のケースでは、仮に以下の控除を全て適用した場合。
- 小規模企業共済:70,000円×12ヶ月=840,000円
- iDeCo:68,000円×12ヶ月=816,000円
- 青色申告特別控除:100,000円(令和8年予定)
- 医療費控除など:50,000円
合計控除額:1,806,000円に達し、所得が1,600,000円であれば所得税はゼロとなります。
所得控除が収入を上回った場合の扱い
控除額が総所得額を上回った場合でも、基本的には課税所得が「0円」になり、それ以上の控除分は繰越や他年への適用はできません。つまり、税金はゼロになりますが、控除の“余剰分”は無駄になることに注意が必要です。
たとえば、控除総額が180万円でも収入が160万円なら、実際の節税効果は160万円分だけとなります。
気を付けるべき点と対策
収入に対して控除額が過剰になる場合、以下のような調整を検討しましょう。
- iDeCoと小規模企業共済のバランスを調整:それぞれの控除限度額を意識し、掛金を調整する。
- 支出増加に備える:事業的支出を経費として認められるように整備する。
- 開業届後の所得区分:不動産所得ではなく事業所得として確定申告できるようにするため、帳簿や届出内容を明確に。
また、扶養の扱いや住民税非課税の基準などにも影響があるため、市区町村への確認もおすすめします。
まとめ:加入は可能だが、控除の最適化を意識して
不動産収入のみでも、事業としての実態がある場合は小規模企業共済への加入は可能です。ただし、控除額が収入を上回ると節税効果が無駄になる可能性もあるため、iDeCoや共済掛金のバランスを調整することが大切です。将来的な税負担やライフプランを見据え、無理のない節税計画を立てましょう。
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