算定基礎届の作成時に、75歳を迎えた従業員がいる場合、その取り扱いについて迷うことがあります。特に、後期高齢者医療制度への移行後も在職している方に対しては、標準報酬月額の記載方法に注意が必要です。この記事では、75歳以上の従業員がいる事業所が算定基礎届を作成する際に知っておくべきポイントを解説します。
算定基礎届とは何か
算定基礎届は、厚生年金保険および健康保険の被保険者の標準報酬月額を毎年7月に見直すための届出書類です。基本的には4月〜6月に支払われた給与を基に計算され、社会保険料の基礎となります。
しかし、75歳に到達した従業員については、健康保険の被保険者資格を喪失するため、その年の算定対象外となる可能性があります。
75歳で健康保険を喪失する仕組み
75歳の誕生日を迎えると、健康保険(協会けんぽ等)から脱退し、自動的に後期高齢者医療制度へ移行します。これは法律により定められており、会社での加入状況に関係なく適用されます。
したがって、75歳以降は健康保険料が給与から控除されることはなくなり、会社としても健康保険の算定基礎届の提出対象から外すことになります。
算定基礎届における75歳以上の従業員の取り扱い
75歳の誕生日を迎えた月の前日で健康保険の資格を喪失するため、その月を含む4月〜6月に報酬が支払われていても、対象期間中に資格を喪失した場合は、原則として算定基礎届を提出する必要はありません。
ただし、厚生年金保険には引き続き加入するケースがあり、その場合は「算定基礎届(厚生年金保険分のみ)」を提出します。この場合、「従前の標準報酬月額」の記載も必要になります。
従前の標準報酬月額の記載方法
75歳になる前月までに適用されていた標準報酬月額を、従前の欄に記載します。たとえば、4月中に75歳になった場合、3月末まで適用されていた標準報酬月額が「従前の標準報酬月額」となります。
注意点として、資格喪失のタイミングや賃金の変動があった場合でも、健康保険資格がある最後の月の標準報酬を基に記載します。
記入漏れや誤記入を防ぐためのチェックポイント
- 75歳到達日と資格喪失日の確認
- 健康保険と厚生年金保険の資格喪失が同時か別か
- 厚生年金のみ加入継続の場合は、算定基礎届を「厚年用」に切り替える
提出書類を間違えると、保険料の計算や年金記録に影響が出るため、事前に日本年金機構や社会保険事務所で確認することをおすすめします。
まとめ:75歳以上の従業員は「厚年のみ算定」の対象になることも
75歳になった従業員は、健康保険の資格を喪失し後期高齢者医療制度へ移行します。そのため、算定基礎届の提出は原則不要ですが、厚生年金に引き続き加入している場合は「厚生年金保険分」のみ提出が必要になります。
「従前の標準報酬月額」には、75歳になる前の月額を正確に記載し、誤りのない届出を行いましょう。
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