65歳を迎えるにあたって、自分の老齢年金をいつから受給するかを検討している方も多いでしょう。特に、すでに遺族年金を受給している場合、自分の老齢年金を受け取ることで遺族年金がどうなるのか気になるところです。今回は、遺族年金と老齢年金の関係、繰下げによる影響、併給の可否などを具体例を交えて解説します。
遺族年金とは?老齢年金との違いを確認
遺族年金は、亡くなった配偶者の加入実績に基づき、残された配偶者などに支給される年金です。主に国民年金からの「遺族基礎年金」と厚生年金からの「遺族厚生年金」があります。
一方、自分自身が納めた保険料に応じて受給するのが老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)です。この二つは原則として性質の異なる制度であり、全額を同時に受け取ることはできません。
老齢年金と遺族年金は同時に受け取れる?
原則として、「老齢年金と遺族年金」は併給できますが、以下のようなルールが存在します。
- 老齢基礎年金と遺族厚生年金:同時に受給可能
- 老齢厚生年金と遺族厚生年金:高い方を選択(併給不可)
つまり、多くの場合、65歳から自分の老齢基礎年金を受給しながら、遺族厚生年金(月額13,000円など)を受け取り続けることが可能です。ただし、自分の厚生年金の金額が大きい場合は、遺族厚生年金が支給停止になることもあります。
年金の繰下げと遺族年金の関係
老齢年金は、65歳以降最大75歳まで繰下げることで受給額を増やすことが可能です(1か月繰下げで0.7%増、最大で42%増)。
繰下げ期間中は、老齢年金は受け取れませんが、遺族年金は引き続き支給されます。つまり、遺族年金を受けながら老齢年金を繰下げるという選択肢も現実的です。将来的な生活資金に余裕があれば、繰下げによる増額は老後の安心につながります。
国民年金基金の扱いにも注意
国民年金基金は、自営業者や任意加入者が加入できる任意の年金制度です。通常は65歳からの支給となり、これは老齢基礎年金や遺族年金とは別枠で支給されるため、併給が可能です。
したがって、国民年金基金の支給が始まっても、遺族年金に影響はありません。老齢年金の繰下げを選択している間も、基金からの年金は受給できます。
実例:遺族年金を受給中の65歳女性のケース
たとえば、60歳から遺族厚生年金(月13,000円)を受給していた女性が65歳を迎えるとします。65歳から老齢基礎年金(月60,000円)と、国民年金基金(月10,000円)の受給が始まります。
この場合、老齢基礎年金と国民年金基金は支給開始、遺族厚生年金も併給可能となり、合計83,000円程度の月額年金が受給可能となります。
まとめ:制度を正しく理解して選択を
老齢年金の繰下げを選ぶかどうかは、現在の生活費、健康状態、将来の見通しなどに応じて判断する必要がありますが、遺族年金との併給や繰下げ中の支給関係を正しく理解しておくことが重要です。
不安な場合は、年金事務所や専門の年金相談窓口で個別に相談することをおすすめします。最適な選択をして、安心して老後を迎えましょう。
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