夏のボーナス（賞与）を受け取った際、「去年より手取りが減っている」と感じる方も少なくありません。特に、所得税が大きく引かれていると疑問や不安になるものです。この記事では、賞与にかかる所得税の計算方法と、前年と比べて控除額が増える理由について詳しく解説します。
賞与の所得税はどのように決まるのか？
賞与にかかる所得税は、通常の給与とは異なる方法で計算されます。賞与支給月の前月の「社会保険料控除後の月額給与」を基に、源泉徴収税額表に基づいて税率が決定されます。
たとえば、前月の給与が高かった場合、その分だけ賞与に対しても高い税率が適用されやすくなります。つまり、ボーナス額そのものだけでなく、前月の給与が税額に影響を与える仕組みです。
前年より所得税が高くなる主な原因
- 前月の給与が高かった：直近の給与額が反映されるため、昇給や残業代増加があると税率が上がります。
- ボーナス額の増加：春闘などにより支給額が増えていれば、その分所得税も上昇します。
- 扶養人数や控除の変更：前年と比べて扶養親族が減った場合なども影響します。
例えば、昨年は手取り50万円だったボーナスが、今年は52万円支給されたのに手取りは49万円ということも起こり得ます。これは所得税の差額が大きくなっているためです。
賞与にかかる税金は「仮計算」？年末調整で調整される
実は、賞与支給時の所得税は「仮の計算」にすぎません。年末調整で年間の所得に応じた正確な所得税が再計算され、払いすぎた税金があれば還付されます。
したがって、賞与で引かれた所得税が多かったとしても、必ずしも損をしているわけではなく、年末に調整される点を理解しておくことが大切です。
社会保険料の増加も影響する
賞与には社会保険料（健康保険・厚生年金保険など）もかかります。支給額が増えれば、保険料も増加し、手取り額が少なくなる要因となります。
特に、支給額が「社会保険料等級の境界線」を超えると、想定以上に保険料が高くなり、前年と大きな差が出ることもあります。
手取りを増やすための工夫やポイント
- 扶養控除や住宅ローン控除など、控除対象を最大限に活用する
- 給与明細を定期的に確認し、源泉徴収の内容を把握する
- 所得控除の見直しや年末調整時の書類提出を漏れなく行う
また、ボーナスが支給された月に一時的な収入減があった場合（育休明けや時短勤務など）、税率が低くなることもありますので、会社の給与担当者に確認することもおすすめです。
まとめ：所得税増加の理由は複数要因が絡む
賞与に対する所得税が前年より高くなるのは、「賞与額の増加」「前月の給与の影響」「社会保険料の増加」など複数の要因が関係しています。ただし、年末調整で精算されることが多いため、必ずしもその差額分が確定するとは限りません。
疑問がある場合は、源泉徴収票や給与明細を確認し、必要であれば会社の総務・人事部門や税理士に相談することで、正確な理解が得られるでしょう。
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