75歳以上が入院した場合の高額療養費制度の支払い上限額とは?年収400万円世帯の具体例付きで解説

社会保険

高齢のご家族が入院した際、気になるのが医療費の負担です。特に75歳以上の方は「後期高齢者医療制度」の対象となり、高額療養費制度を利用することで支払い上限が設けられています。本記事では、年収400万円を超えるご夫婦世帯の具体例をもとに、支払いの目安や制度の仕組みについて分かりやすく解説します。

高額療養費制度の基本とは?

高額療養費制度は、月ごとの医療費自己負担額が一定額を超えた場合、その超過分が後から払い戻される仕組みです。75歳以上の方は「後期高齢者医療制度」に加入しており、この制度内での区分が適用されます。

所得区分ごとに自己負担限度額は異なり、世帯の年収に基づいて決定されます。対象は同一月・同一医療機関での入院・外来を合算した医療費です。

後期高齢者医療制度における所得区分

2024年度の目安では、以下の通りに区分されています。

  • 現役並み所得者III:年収約690万円以上(自己負担:252,600円+α)
  • 現役並み所得者II:年収約380〜690万円(自己負担:167,400円+α)
  • 現役並み所得者I:年収約145〜380万円(自己負担:80,100円+α)
  • 一般:年収145万円未満(自己負担:18,000円〜57,600円)

質問にある「年収合計400万円超」のご夫婦の場合、夫が78歳で入院という前提から「現役並み所得者IまたはII」に該当する可能性が高いです。

具体例:年収400万円世帯の入院時の支払い上限

夫婦合算で年収約400万円(年金300万円+妻の収入100万円)であれば、「現役並み所得者II」に該当すると見られます。この場合、自己負担の上限は次の通りです。

  • 入院手術費用総額:約100万円の場合
  • 自己負担限度額:167,400円+(総医療費-558,000円)×1%

仮に医療費が100万円だった場合、計算式は次のようになります。

167,400円+(1,000,000円-558,000円)×0.01=167,400円+4,420円=171,820円

つまり、自己負担額は171,820円程度となり、それを超えた分は後から還付されます。

限度額適用認定証の取得を忘れずに

高額療養費制度の恩恵を受けるには、「限度額適用認定証」を事前に取得して病院に提示することで、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることができます。

これは後期高齢者医療広域連合や市区町村の窓口で申請できます。急な入院などで提示できなかった場合でも、後日申請すれば払い戻しは可能です。

自己負担を減らすその他の制度も活用

高額療養費制度以外にも、高額介護合算療養費制度医療費控除民間の医療保険などと組み合わせることで、実際の負担をより軽減できます。

例えば年間10万円以上の医療費を支払った場合は、確定申告で医療費控除が受けられ、所得税の一部が戻ってくる可能性があります。

まとめ:入院時も慌てず制度を活用しよう

後期高齢者の入院は心配がつきものですが、制度をしっかり理解しておけば、家計への影響を最小限に抑えることが可能です。年収400万円程度の世帯であれば、入院時の高額療養費制度によって自己負担は17万円前後で済むケースが多いです。

限度額適用認定証の取得を含め、事前の準備が肝心です。不安な場合は、加入している医療保険や市町村窓口に相談するのもおすすめです。

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