ボーナス(賞与)の額面が増えたのに、手取りが減ってしまったという経験をした方も多いのではないでしょうか。実は、賞与に対する控除の仕組みにはいくつかのポイントがあり、額面アップ=手取り増とは限らないことがあります。本記事では、社会保険料と所得税が賞与の手取りにどのような影響を与えているかを具体的に解説します。
賞与にかかる主な控除とは
賞与から差し引かれる主な控除項目は次の通りです。
- 健康保険料:健康保険組合や全国健康保険協会に支払う医療費関連の保険料
- 厚生年金保険料:将来の年金支給に備える保険料
- 雇用保険料:失業時の保障などに使われる保険料
- 所得税:賞与に応じた課税が行われる
これらの金額は賞与の額面に対して一定の率で決まっており、額面が増えるほど控除額も増加するのが基本です。
なぜ所得税が急に上がるのか?
賞与にかかる所得税は、通常の給与とは異なり、「賞与に対する源泉徴収税額の算出方法」に基づいて計算されます。これは、前月の給与の金額と扶養人数をもとに決定されるため、前月の収入が高い場合や扶養人数に変更があると、税額が大きく変動することがあります。
たとえば、前年に比べて昇給していた場合や残業などで一時的に収入が増えていた場合、税率が高く適用されてしまうケースがあります。
比較例:2年分の支給明細から読み取る変化
項目 | 今年度 | 前年度 |
---|---|---|
支給額 | 657,000円 | 636,000円 |
健康保険 | 28,908円 | 27,984円 |
厚生年金 | 60,115円 | 58,194円 |
雇用保険 | 3,613円 | 3,816円 |
所得税 | 34,572円 | 10,388円 |
振込額(手取り) | 529,792円 | 535,618円 |
この比較からも分かるように、今年度は所得税の増加幅が非常に大きいことが手取り減少の主因です。その他の保険料は微増で、差を決定づけているのは明らかに税額の変化です。
賞与手取りを増やす工夫はできる?
基本的に、賞与にかかる税金や社会保険料を避けることはできませんが、年末調整での控除申告や、ふるさと納税などを活用すれば、所得税の一部を後から還付してもらえる可能性があります。
また、会社によっては賞与の分割支給や現物支給など、手取りを意識した運用がなされているケースもありますので、人事や労務担当に相談してみるのも一つの方法です。
まとめ:所得税の変動に注意しよう
賞与の手取りが減ってしまう原因の多くは、税率の適用方法や前月給与の影響にあります。見た目の額面だけではなく、手取り額にも注目し、必要であれば節税対策を講じることが賢明です。
毎年の変化を記録しておくことで、将来の賞与受け取り時の心構えや資金計画にも役立つでしょう。
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