自動車保険における「故障運搬時車両損害特約」は、トラブル時の安心を大きく高める特約ですが、すべての車が対象になるわけではありません。特に「並行輸入車」は適用除外とされるケースが多く、車検証の記載内容が判断材料になるため、注意が必要です。今回は損保ジャパンの特約を例に、並行輸入車かどうかの見分け方や、加入可否の基準について詳しく解説します。
そもそも「故障運搬時車両損害特約」とは?
この特約は、走行中の故障や事故などで車が自走不能となった場合に、レッカー搬送中に生じた損害を補償するというものです。保険会社によって細部の補償内容は異なりますが、いずれも「対象車両」に制限があります。
損保ジャパンでは、この特約の対象外として明記されているのが「並行輸入車」です。つまり、並行輸入車であれば原則としてこの特約に加入できないということになります。
並行輸入車とはどういう車?
並行輸入車とは、メーカーの正規ディーラー経由ではなく、独自ルートで海外から輸入された車を指します。たとえば、欧州や北米仕様の車両を個人輸入したものや、正規輸入がされていないモデルなどが該当します。
一方、正規ディーラーから販売された車両(たとえばレクサスやメルセデス・ベンツの日本仕様)は並行輸入車には該当しません。
車検証の「型式」欄が不明=並行輸入車?
車検証の「型式」欄が「不明」や「-(ハイフン)」と表示されている場合、それは国土交通省が定めた型式認定を受けていない車であることを意味し、多くの場合、並行輸入車の可能性が高くなります。
保険会社では、車検証の記載内容や輸入経路をもとに「並行輸入車かどうか」を判断します。型式欄の「不明」表記は、その判断基準のひとつとされやすいため、特約加入審査で不利になるケースがあります。
どこを見て保険会社は「並行輸入車」と判断する?
損保ジャパンを含む多くの保険会社では、以下のような情報をもとに判断します。
- 車検証の「型式」欄(不明・空欄・独自コード)
- 「類別区分番号」「車台番号」などの照合
- 登録証明書に記載された輸入元や販売店
- 販売証明書や並行輸入証明書の有無
正規ディーラーから購入した場合は、その旨を証明できる書類を提示することで、対象外と誤認されるのを避けられる場合もあります。
並行輸入車でも加入できる保険や補償方法は?
並行輸入車であっても、自動車保険自体には加入できます。ただし、特約の一部(故障運搬時車両損害特約や車両保険の一部)は制限があるため、事前確認が重要です。
以下の対応を検討しましょう。
- 他社の保険商品を検討する(並行輸入車にも対応している会社もある)
- レッカーサービスの付帯ロードサービスを利用(クレジットカードやJAFなど)
- 特約加入可否を事前に保険代理店に相談
実例:加入できなかったケースと相談で解決した例
例1:米国仕様のジープ・ラングラーを並行輸入で購入。車検証の型式欄が「不明」だったため、損保ジャパンの故障運搬時車両損害特約は不可と案内された。
例2:欧州仕様のフォルクスワーゲンを正規ディーラーで購入。型式認定あり。車検証上も問題なしとされ、特約に問題なく加入できた。
まとめ:車検証の記載は重要!並行輸入車は特約制限に注意
損保ジャパンの「故障運搬時車両損害特約」では、並行輸入車は原則加入不可です。車検証の型式欄が「不明」と記載されている場合、並行輸入車と判断される可能性が高く、審査で除外されるケースが出てきます。
判断に迷う場合は、購入元や輸入経路を明確にしたうえで、保険会社または代理店に直接確認するのが最も確実です。契約時には車検証とともに車両情報を丁寧に提示しましょう。
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