近年、副業の普及により、正社員からアルバイトへと雇用形態を変更しながら複数社で働くケースが増えています。しかし、社会保険や再雇用のタイミングについて誤解があるとトラブルのもとになります。本記事では、同月内での退職・再雇用と社会保険の取り扱いについてわかりやすく解説します。
同月内で正社員退職とアルバイト再雇用は可能?
結論から言えば、同じ月内で正社員としての退職とアルバイトとしての再雇用は可能です。特に会社側と合意が取れており、就業規則上も問題がなければ違法性はありません。ただし、社会保険や所得税、雇用契約の整合性などに注意する必要があります。
具体的には、同じ事業所内であっても、雇用契約の変更が明確であること、勤務時間や社会保険の適用要件をクリアしているかの確認が必要です。
社会保険の二重加入はどうなる?
社会保険(健康保険・厚生年金)は、原則として月単位で加入・脱退が管理されます。たとえばA社で8月20日に退職し、B社で8月10日から勤務を開始している場合、8月は両社とも加入対象となる「重複加入」の期間になります。
この場合、二重加入とならないよう、A社では「8月末日での脱退」ではなく、「退職日=8月20日付での喪失届」を正しく出してもらう必要があります。B社では「8月10日付」で加入届を出せば、日付の重複も避けられます。
社会保険の脱退申請はどうするべきか?
社会保険の脱退は、原則として事業主が行う義務を負っていますが、円滑な処理のためには本人からも「退職日での脱退処理をお願いします」と申し入れるのが有効です。退職証明書や離職票などの発行とあわせて確認しておきましょう。
とくに週20時間未満の勤務になる場合は、社会保険の適用対象外になるため、速やかな脱退手続きが必要です。
翌月再雇用にすべき?同月再雇用との違い
再雇用を翌月にずらすことによって、社会保険の処理や給与計算が簡潔になり、企業側の事務手続きもスムーズになります。しかし、月末をまたぐと収入のない期間が生じることもあるため、生活資金や健康保険証の有無などを考慮して選択しましょう。
同月内で再雇用する場合は、あらかじめ雇用契約を切り替えるタイミングや社会保険の加入状況について書面で整理しておくと安心です。
複数社で社会保険を加入する場合の注意点
2社以上で就労している場合、社会保険加入条件を満たす勤務先が複数あると「社会保険の二以上事業所勤務届」の提出が必要になります。この申請により、主たる勤務先を基準に保険料や保険証が一本化されます。
B社で新たに社会保険に加入する場合でも、A社側の退職処理が適切に行われていなければ、手続き上問題となることがありますので注意しましょう。
まとめ:スムーズな再雇用・社会保険切り替えのためのポイント
同月内での退職と再雇用は問題なく可能ですが、社会保険の脱退・加入手続きには以下の点に注意してください。
- 退職日と社会保険喪失日を一致させる(A社)
- 再就職先での社会保険加入日は明確にする(B社)
- 加入条件が重なる場合は「二以上事業所勤務届」が必要
- 両社と事前に確認・書面での記録を行う
以上の点を押さえておけば、トラブルなくスムーズに雇用形態を切り替えられます。
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