夏や冬に支給される賞与(ボーナス)は、働く人にとって嬉しい収入のひとつですが、その金額から意外と多くの税金や社会保険料が差し引かれていることに驚いた方も多いのではないでしょうか。今回は、賞与にかかる控除の仕組みと、支給がなくなった場合の影響についてわかりやすく解説します。
賞与にかかる社会保険料と税金の内訳
賞与からは、毎月の給与と同様に、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・所得税が控除されます。中でも厚生年金保険料と健康保険料の金額は大きく、これだけで手取りが2割以上減ることもあります。
たとえば50万円の賞与を受け取った場合、社会保険料でおよそ6〜7万円、所得税でさらに1〜2万円が差し引かれることも珍しくありません。住民税は賞与から引かれるのではなく、前年の所得をもとに毎月の給与から天引きされる仕組みです。
賞与が支給されない場合、社会保険料はどうなる?
気になるのは「賞与が支給されなかった場合、賞与にかかる保険料はどうなるのか」という点ですが、結論から言えば、支給されなければ控除も発生しません。
社会保険料や所得税は、あくまで実際に支給された賞与額をもとに計算されるため、ボーナスがゼロであれば、当然控除もゼロです。その分、手取りが減るということもありませんし、月給から差し引かれるといった心配もありません。
「標準賞与額」の上限にも注目
賞与に対する保険料の計算には、「標準賞与額」という概念があります。これは、1回の賞与につき150万円が上限となっており、それを超える部分には保険料がかかりません。ただし、この上限は社会保険料の計算に限った話で、所得税は全額に対して課税される点に注意が必要です。
また、標準賞与額は月々の標準報酬月額とは別に管理されており、毎回賞与が支給されるたびに申告が必要です。
月々の給与に影響する可能性はある?
賞与が支給されないと、それが反映された前年の所得が減るため、翌年の住民税や国民健康保険料(転職後や退職後に発生)に影響が出る可能性があります。つまり、賞与が減れば翌年の負担が軽くなる一方、年収としては下がるため、住宅ローン審査などで不利になることも。
また、退職金制度や企業型確定拠出年金の掛金計算に賞与が含まれる場合、賞与の有無が老後資産にも影響を及ぼすことがあります。
賞与の支給がないときの注意点と対策
賞与が支給されない時期や会社の方針変更があった場合、家計に与える影響は無視できません。賞与をあてにした支出計画を立てていた場合、急な支給見送りでキャッシュフローが悪化することも。
こうしたリスクに備えて、普段の給与から少しずつ積み立てを行う「自家ボーナス制度」を導入するのもおすすめです。たとえば、毎月3万円を別口座に移すなどして、ボーナスがなくても安心できる資金管理を心がけましょう。
まとめ:賞与が出ない場合も基本的に控除なし、将来の影響は考慮を
賞与にかかる社会保険料や税金は実際の支給額に対して発生するため、支給がなければ控除もありません。ただし、賞与がないことで年収が減り、翌年の税金やローン審査に影響が出る可能性はあるため、収支全体での見直しが重要です。
不安な場合は、会社の人事・総務に確認したり、税理士やファイナンシャルプランナーに相談してみるとよいでしょう。
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