社保の適用事業所一括とは?本社・支社間で異なる都道府県保険料率の扱いを解説

社会保険

企業が複数の拠点を持つ場合、社会保険の取り扱いに関して「適用事業所の一括」が問題になることがあります。本社が東京にあり、支社が鳥取にあるようなケースで、保険料率がどう適用されるのか疑問に感じる経営者や労務担当者も多いでしょう。この記事では、適用事業所の一括届出と都道府県単位保険料率の関係について、具体例と共に詳しく解説します。

適用事業所の一括とは?

社会保険(健康保険・厚生年金保険)では、複数の事業所を持つ企業が、一定の条件を満たす場合に限り、本社の管轄に「一括して」届け出ることが認められています。これが「適用事業所の一括」です。

この制度により、支社・営業所であっても、個別の適用事業所としてではなく、本社の「分室」扱いとなり、各種手続きや届出を本社で一元管理できます。

健康保険の都道府県単位保険料率の取り扱い

平成20年度以降、健康保険の保険料率は全国一律から都道府県単位に変更され、それぞれの「協会けんぽ支部」が定めた料率が適用されます。この場合、どの支部の料率が適用されるかは「被保険者の事業所所在地」で決まります

つまり、適用事業所を一括していても、実際に従業員が働く拠点(支社・営業所)の所在地の協会けんぽ支部料率が使われるのが原則です。

たとえば本社が東京・支社が鳥取の場合

たとえば、東京本社が主たる事業所で、鳥取支社を一括適用の対象としている場合でも、鳥取支社で勤務する従業員には鳥取支部の保険料率が適用されます。

つまり、事務処理は東京本社に集約されていたとしても、給与計算上の健康保険料率は「鳥取の料率」となるため、地域差が反映される形となります。

例外的に東京の料率が適用されるケース

ただし、実際の勤務実態がなく、形式上のみ支社登録されているようなケースでは、本社所在地の保険料率が適用されることがあります。しかし、これはかなり限定的な特殊例です。

通常の雇用実態がある支社勤務者には、所在地ベースでの保険料率適用が原則であり、「一括届け出=本社の保険料率が全国に適用される」という誤解には注意が必要です。

厚生年金保険料は全国一律

なお、健康保険と異なり、厚生年金保険の保険料率は全国一律です。よって、適用事業所の所在地に関係なく、従業員の厚生年金保険料率に地域差は生じません。

たとえば、東京・鳥取どちらの従業員も同じ厚生年金料率で計算されます。

まとめ:事業所所在地に応じた保険料率が適用される

社会保険の適用事業所一括届け出を行っても、健康保険料率は従業員が勤務する事業所の所在地に応じた都道府県単位の料率が適用されます。つまり、本社が東京でも、鳥取支社勤務の社員には鳥取の料率が適用されるというのが基本的な考え方です。

処理の簡素化と実務上の保険料の適用は別物であることを理解し、労務管理や給与計算に反映させることが重要です。

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