個人事業主として働いていた経験がある方や、副業として少しでも収入を得ていた方が会社を退職する際、失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取れるのかどうか不安になることがあります。とくに「個人事業主」と「自営業」の違いが曖昧なまま語られることも多く、情報に混乱してしまう方も少なくありません。本記事では、失業保険の受給資格における「副業」「個人事業主」「自営業」などの扱いについて詳しく解説していきます。
失業保険の受給資格の基本を確認しよう
まず、失業保険を受け取るには以下の2つの要件を満たす必要があります。
- 雇用保険に加入しており、離職日以前の2年間に被保険者期間が12か月以上あること
- ハローワークに求職の申込みをし、就職する意思と能力があること(就職活動を行っていること)
したがって、副業であっても本業として会社に雇用され、雇用保険に加入していたならば、基本的な受給資格を満たしている可能性があります。
「個人事業主」と「自営業」の違いとハローワークの判断
「個人事業主」=「自営業者」とされることが多いですが、失業保険の文脈では明確な判断基準があります。収入の有無よりも『就業の実態』が重視されるのが特徴です。
たとえば、青色申告をしていたり、開業届を出していたりした場合、それが「今も自営業として仕事をしているか」の判断材料になります。ただし、すでに廃業届を提出している場合、ハローワークに「個人事業は廃業済み」と説明し、証明できる書類(廃業届や確定申告書の写し)を提出することで、雇用保険の対象と認められることが多いです。
副業収入があっても失業保険は受給できる?
副業としてたまに収入を得ているケース、たとえば知人から依頼された軽作業やライティングなどによって数千円〜数万円の報酬が発生した場合、それだけで即「失業状態ではない」と判断されるわけではありません。
ハローワークでは以下のように判断される傾向があります。
- 働いた日数・時間・頻度がごくわずかである
- 収入が生活費に満たない程度である
- その活動が主な収入源ではない
このような状況であれば、「就職活動を行っている失業状態」と認められる余地が大いにあります。なお、報酬がある日は「内職・手伝い」として報告し、該当日の給付が減額される可能性がありますが、資格そのものが取り消されることは原則ありません。
体力的理由で退職する場合の注意点
今回のように「体力的に限界を感じて退職する」場合、自己都合退職となるか、正当な理由ありの退職として扱われるかで、給付制限の期間が変わることがあります。
医師の診断書や業務記録、職場とのやり取りを記録したメモなどがあれば、「やむを得ない理由での退職」と判断され、3か月の給付制限が免除される場合もあります。ハローワークで必ず相談しましょう。
個人事業主としての名残があるときの対処法
たとえ事業収入がほぼ無くても、「青色申告を続けている」「屋号付きの口座を使っている」など形式的に事業継続の意思があると見なされる場合は注意が必要です。
対応策:
- 廃業届のコピーを用意する
- 事業に使っていた設備・口座などをすでに使っていないことを説明
- 青色申告も今後しない旨を説明・記載
実際の判断はハローワークごとの裁量もあるため、正確に事実を申告した上で相談することが何より大切です。
まとめ:正しく申告すれば失業保険は受け取れる可能性が高い
今回のケースのように、個人事業主としての活動を廃止し、主たる収入が派遣社員であった場合は、失業保険の受給資格を満たしている可能性が高いです。副業収入が少額でも正直に申告すれば問題ありません。
ポイントは、「今は就業していない状態であることを、事実と証拠で伝える」こと。ハローワークに事前相談し、不安な点は正直に話す姿勢が、スムーズな受給への第一歩です。
コメント