お釣りでもらった硬貨がまるで新品のようにピカピカだった──そんな経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。特に平成31年(2019年)発行の10円玉は、令和の時代に入ってからも目にすることがあり、「なぜ今さら平成31年の硬貨?」と疑問に思う方も少なくありません。この記事では、その理由や背景、流通の仕組みをわかりやすく解説します。
硬貨の発行年は「鋳造年」を示している
日本の硬貨に刻まれている年号は「その年に発行された年」ではなく、「その年に造幣局で鋳造された年」を表しています。つまり平成31年の10円玉は、2019年に造られたものであり、実際に流通に回るタイミングはそれ以降になる場合もあるのです。
例えば、2019年に製造された硬貨が長らく保管されていて、2025年に流通することも珍しくありません。そのため「古い年号なのに新品」の硬貨が出回ることになります。
なぜ今、平成31年の新品硬貨が流通するのか?
その理由の一つは、造幣局が発行した硬貨を日本銀行が一定期間保管しているという点です。必要に応じて市中に放出されるため、タイムラグが発生するのは自然なことです。
また、ATMや銀行の窓口で現金が引き出される際に、保管されていた新品硬貨が流通に乗ることもあります。特に年末年始や新年度の繁忙期に流通量が増えると、古い年号の新品硬貨が出てくることがあるのです。
令和元年に切り替わったはずでは?という疑問
「平成31年は短期間だったのに、なぜそんなに多く出回っているのか?」と疑問に思う人もいるかもしれません。実は、平成31年(2019年4月30日)までは鋳造が続けられていたため、例年並みの数量が製造されていたのです。
しかも、令和元年(2019年5月1日~)に入ってからは年号が変わったものの、当初は製造ラインの切り替えに時間がかかり、しばらくは平成31年硬貨の在庫が使われていたという背景もあります。
新品硬貨の特徴と見分け方
ピカピカの硬貨は、製造直後の光沢が残っており、表面に摩耗や傷がほとんどありません。また、エッジがシャープで、指で触れるとザラつきがあることも。
新品同様に見える硬貨でも、実際には数年間保管されていたケースが多く、「見た目=発行時期」ではない点に注意が必要です。
記念硬貨やコレクション価値について
平成31年という「改元直前」の年号が入った硬貨は、コレクション的な価値があると感じる人もいます。ただし、10円玉のように流通用として大量に造られた硬貨は、基本的に額面以上の価値はありません。
一方で、未使用のピカピカ状態で保管しておくと、後年コレクター需要が高まる可能性はゼロではないため、大切に保存しておくのも良いかもしれません。
まとめ:平成31年の新品10円玉は「時間差流通」が理由
・硬貨の年号は「造られた年」を示すものであり、流通はそれより後になることもある
・新品のような状態でも、それは保管されていた結果であり不思議なことではない
・改元期の硬貨は特に注目されやすいため、見かけたらラッキーと思ってもよい
ピカピカの10円玉が目にとまったら、それは流通の不思議さや日本の硬貨制度の奥深さを感じられる瞬間かもしれません。
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