育児と仕事の両立を支援する制度のひとつに「育児時短就業給付」があります。しかし、雇用保険の被保険者期間や失業給付の受給歴によっては、思い通りに給付が受けられないケースもあります。この記事では、給付対象となるための条件や、失業給付受給による影響についてわかりやすく解説します。
育児時短就業給付とは?
「育児時短就業給付」は、3歳未満の子どもを育てながら短時間勤務を選んだ被保険者に対し、賃金低下分の一部を補填する制度です。通常、フルタイムから短時間勤務に切り替えた場合、賃金が減少するため、その減少分の一定割合が支給されます。
支給対象となるには、雇用保険の適用事業所に勤務していることが前提であり、勤務実績や被保険者期間にも一定の条件が設けられています。
育児時短給付を受けるための条件
この給付を受けるためには、以下の要件を満たしている必要があります。
- 雇用保険の被保険者であること
- 短時間勤務により賃金が下がっていること
- 過去2年間のうち12か月以上、雇用保険に加入していたこと(ただし給付制限を含む失業給付の受給で被保険者資格が切れた場合、通算されません)
- 対象の子どもが3歳未満であること
「被保険者期間12ヶ月以上」という条件は、雇用保険の受給資格に共通するルールですが、一度離職や給付金の受給で資格がリセットされると、そこから再スタートとなるため注意が必要です。
失業給付を受けると被保険者期間はリセットされる?
はい、一般的に失業給付を受けた時点で、前職での雇用保険被保険者期間はリセットされる扱いになります。つまり、退職後に失業給付を受給し、その後新しい職場に就職した場合、被保険者期間は新たにカウントされます。
このため、再就職後に育児時短就業給付を受けるには、少なくとも12ヶ月間の継続的な雇用保険加入が必要になります。
パートから正社員へ変更した場合の扱い
仮に5月にパート(非正規雇用・週20時間未満など)として働き、6月から短時間正社員になったとしても、5月の勤務が雇用保険の適用外であれば、その1ヶ月は被保険者期間としてカウントされません。
そのため、6月からの新たな雇用保険加入を起点として12ヶ月後まで給付の対象にならないケースが多く見られます。
給付対象外となった場合の代替手段
もし育児時短就業給付の対象外となった場合でも、会社独自の育児支援制度や、自治体が実施する子育て支援給付制度を確認してみましょう。
また、正社員としての継続雇用を前提に、次年度以降に育児時短給付を申請する準備を整えておくことも有効です。
まとめ:リセットのタイミングと給付要件の理解が鍵
育児時短就業給付は、子育てとキャリアを両立させたい方にとって大きな助けとなる制度です。しかし、失業給付の受給後は雇用保険の被保険者期間がリセットされるため、再度12ヶ月間の勤務実績を作る必要があります。
事前に要件をよく確認し、会社の労務担当やハローワークに相談しながら計画的に制度活用を進めていくことが大切です。
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