転職などにより国民健康保険(国保)から社会保険に切り替えたにもかかわらず、知らぬ間に国保の保険料も引き続き請求されている──このような「保険の二重加入」は意外と多く発生しています。保険証の返却や手続きのタイミングによっては、脱退処理が自治体側で完了していない可能性があるため、注意が必要です。本記事では、社会保険への切り替え後に国保の脱退がなぜ必要なのか、どこで確認すべきか、そして重複請求された場合の対応方法までわかりやすく解説します。
国民健康保険の脱退は自動では行われない
就職して社会保険に加入すると、原則として国民健康保険をやめる必要があります。しかし重要なのは、国保の脱退手続きは自動では行われないという点です。本人が自治体の窓口で明確に脱退申請をしなければ、国保の記録が残り、保険料も請求され続ける可能性があります。
特に、会社の社会保険に加入したからといって「自動的に切り替わる」と思っている方は注意が必要です。脱退処理は各市区町村への届け出が必須です。
保険証が手元にない=脱退済み、とは限らない
「国保の保険証を返却した覚えがない」「手元にないから脱退済みだと思っていた」というケースもよく見受けられます。しかし、保険証が手元にないこと=脱退が完了しているとは限りません。
実際、保険証は紛失や会社への返却など複数のパターンがあり、物理的に手元にないだけで、自治体にはまだ加入者として記録が残っている場合もあります。心当たりがない場合でも、念のため市区町村の国保窓口で加入状況を確認することをおすすめします。
国保脱退の手続きに必要な書類と流れ
脱退の手続きを行うには、一般的に以下の書類が必要です。
- 新しい健康保険証(会社で発行された社会保険証)
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 国保の保険証(手元にあれば)
- 印鑑(自治体によっては不要)
窓口で脱退手続きをすると、社会保険に切り替えた日(通常は入社日)をもって遡って国保から脱退となります。保険証を返却したかどうかの記録も確認可能です。
なぜ二重で請求されるのか?その原因と対処法
国保の保険料は自動引き落としや納付書により支払うため、手続き漏れに気づかないまま納付しているケースが多くあります。市区町村では加入情報を把握する仕組みが限られており、会社の保険に入ったことを市が把握できないのが根本的な原因です。
このような場合、遡って脱退申請を行うことで、重複期間分の保険料が還付される可能性があります。支払済みであっても無駄にならないケースもあるため、必ず市役所に相談しましょう。
保険証の番号が不明な場合の対応方法
手元に国保の保険証がなく、番号が不明な場合でも心配はいりません。市区町村の窓口では、本人確認ができれば過去の加入履歴や保険証の番号を照会してもらえます。マイナンバーカードや身分証明書を持参すればスムーズに手続きできます。
また、保険証の返却が未処理だったとしても、「返却されていない=未脱退」ではなく、職員側で状況を調査して処理してくれることも多いです。
まとめ|転職後は必ず市区町村での国保脱退手続きを
国民健康保険と社会保険の二重加入は珍しくありませんが、放置すると余分な保険料を支払うリスクがあります。保険証の返却や記憶だけを頼りにせず、市役所での確認・手続きが確実な対応策です。
「いつから社会保険に切り替わったのか」「その日以降の国保は使っていないか」を明確に伝えることで、脱退処理と過払い分の還付の可能性も含めて整理されます。忘れてしまっていた方も、今からでも遅くありません。早めの確認と行動が、無駄な支払いを防ぐ第一歩になります。
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