マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」の導入が進む中、窓口での受付端末に表示される「すべての医療等に同意しますか?」という質問に戸惑う方も多いようです。同意しないとどうなるのか、不利益はあるのかなど、疑問に思う場面も増えてきました。本記事では、その仕組みや判断のポイントについて詳しく解説します。
「すべての医療提供に同意」とは何を指すのか
この「同意」は、あなたの医療情報(診療情報や薬剤情報など)を医療機関が閲覧することを許可するかどうかを尋ねています。具体的には以下のような情報が対象です。
- 診療・治療内容
- 薬剤の処方履歴
- 特定健診の結果
これらの情報を共有することで、重複投薬の防止や診療の精度向上が期待されています。
「同意しない」を選んだ場合の対応
この質問に「同意しない」と回答しても、保険診療自体が受けられなくなることはありません。つまり、医療費が全額自己負担になるといったことは起きません。
ただし、同意をしない場合、医師が過去の診療情報や投薬歴などを確認できなくなります。そのため、口頭で自分の病歴やアレルギー情報を伝える必要が出てきます。
どんなときに「同意しない」が選ばれる?
プライバシーの観点から、特定の医療機関には情報を見られたくないという場合に「同意しない」を選択する人もいます。
たとえば、精神科の受診歴や性感染症の治療履歴など、他の診療科には知られたくない情報が含まれている場合、「個別に同意する」や「この医療機関では同意しない」といった選択肢も用意されています。
「部分的な同意」も可能な仕組み
マイナ保険証のシステムでは、診療ごと・機関ごとに個別に同意を設定することができます。全てに同意する必要はなく、患者が自由に範囲を決めることができるのです。
たとえば「A病院ではすべて同意するが、Bクリニックでは薬剤情報だけに限定する」といった使い方も可能です。
医療の質を高めるためには「同意」も重要
同意をすることで、医師が正確で迅速な判断を下しやすくなり、より安全な医療提供が可能になります。特に高齢者や複数の病院を利用している人にとっては、情報の一元化が大きなメリットになります。
過去の薬の重複や副作用などが医師にすぐ伝わることで、医療ミスのリスクを減らすことにもつながります。
まとめ:同意は任意、でも正しく理解して選択を
マイナ保険証の「すべての医療提供に同意しますか?」という設問は、医療情報の提供範囲をあなたが決めるためのものです。断っても診療自体に支障はありませんが、医療の質や安全性の観点からは、なるべく同意するのが望ましいとされています。
プライバシーを守りつつ、自分にとって最適な使い方を考えていくことが、これからの医療では大切です。
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