親族経営の会社で働く中、病気で入院やオムツが必要な状況となり、保険証が使えず自己都合退職扱いになった──というような経験は、特に家族経営の職場では珍しくありません。本記事では、こんなときどう対応すればよいかを、法律・社会保険・労働者の視点から整理して解説します。
保険証が使えなくなった場合の対処法
まず、健康保険証が使えないという問題については、会社の意図的な謀略か手続きミスかを確認する必要があります。早急に会社(総務担当や代表者)へ事情を確認し、それでも解決しない場合には、管轄の年金事務所や協会けんぽ・健康保険組合に相談するのが適切です。
また、加入記録が失われている場合にも保険証が使えなくなるため、市区町村・社会保険事務所への問い合わせを通じて保険資格を確認・再取得する手続きが必要です。
自己都合退職扱いでも失業給付が可能なケース
親族経営だからといって自動的に役員扱いになるわけではなく、実態が平社員であれば雇用保険に加入している可能性があります。雇用保険加入者であれば、自己都合退職であっても一定期間後に失業給付(基本手当)が受けられます。
ただし、失業給付を受けるには、ハローワークへの離職票提出や受給手続きが必要です。離職理由に「病気療養による自己都合」などと記載されるケースも多く、正確に記入されているか確認しましょう。
病気や障害が原因の退職なら「傷病手当金」も視野に
業務外の病気で療養が必要な場合は、健康保険から「傷病手当金」が支給される可能性があります。これは勤め先が親族企業でも、国保・健保の加入履歴があれば対象です。
退職後でも、療養期間中の申請が可能なケースもあります。医師の診断書と会社の証明書類を用意して請求すれば、受給できる可能性があるため、早めに準備することが大切です。
会社との交渉&法的支援の選択肢
親族経営であっても、会社には労働基準法や雇用保険法などの遵守が求められます。不当な退職扱いや保険資格の剥奪は労働審判や裁判で争える問題です。
まずは社内で話しにくい場合、労働基準監督署や労働局、中小企業家同友会など無料相談窓口を活用し、書類を整理して正式な異議申立を行う方法もあります。
実例:精神的・身体的事情で自己都合退職後に給付を受けたケース
あるケースでは、入院・通院を理由に自己都合退職とされた女性が、ハローワークへ申請した結果、事情を説明することで「特定受給資格者」として扱われ、待機期間なしで失業給付が開始された事例があります。
別のケースでは、退職後でも傷病手当金を申請し、退職前の給与を基準に支給が認められた例もあります。会社との関係性が密でも、制度上は補償される仕組みがあるのです。
まとめ:医療・保険・労働制度を横断して正しく申請を進めよう
親族経営で理不尽な退職や保険証トラブルが起きた場合でも、健康保険・雇用保険・傷病手当金などの制度を活用することで、自身の権利を守ることが可能です。まずは制度を整理しながら、市区町村窓口や年金事務所、ハローワークに相談して書類を整えることが重要です。
必要に応じて労働相談や法的支援にも繋げることで、最善の解決に近づくことができます。
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