奨学金を受給しながらアルバイトをしている学生にとって、年収の上限や税金の扱いは気になるところです。特に第1種の給付奨学金とアルバイト収入が100万円を超える場合、区分変更や影響があるのか心配になる方も多いでしょう。今回は勤労学生控除との関係や注意点を含めて詳しく解説します。
第1種給付型奨学金と収入制限の基本
給付型奨学金(特に日本学生支援機構の第1種)は、本人や世帯の所得状況に応じて支給額や支給の有無が決まる制度です。基準となるのは前年の所得であり、アルバイトなどの収入が多すぎると給付対象外となる可能性があります。
とはいえ、収入が「100万円を超えたら即打ち切り」という単純な話ではありません。給付継続の可否は、本人と保護者世帯の所得合算や住民税非課税かどうかなど、多角的な判断要素があります。
勤労学生控除とは?学生に有利な税制優遇
勤労学生控除とは、学生が一定の収入を得た際に所得税や住民税の課税対象から外れるための制度です。以下の条件を満たす必要があります。
- 給与所得などの勤労による収入がある
- 合計所得金額が75万円以下(令和6年現在)
- 学生であることを証明できる
これを申請しておけば、所得税がかからず、課税証明書に「非課税」と記載されることもあるため、奨学金制度上も有利に働く場合があります。
給付型奨学金の「区分」と勤労学生控除の関係
奨学金の「区分変更(減額・打ち切り)」は、学生本人や世帯の所得が奨学金制度の基準を超えた場合に見直しが行われます。ここで重要なのが、勤労学生控除を適用した課税証明書が有利な判断材料になるという点です。
例えば、収入が100万円を超えても、勤労学生控除により課税所得が低くなり、「非課税扱い」または「住民税が一定額未満」に抑えられれば、区分が変わらず奨学金の継続が可能になる場合があります。
勤労学生控除を受けるための手続き
控除を受けるには、年末調整または確定申告で勤労学生控除の申告が必要です。会社員アルバイトであれば、年末調整時に勤労学生であることを証明する書類(在学証明書等)を提出すれば適用されます。
自分で確定申告する場合は、申告書に勤労学生控除の欄があるので、忘れずにチェックして申請しましょう。申告後に発行される非課税証明書や課税証明書を日本学生支援機構などに提出することで、収入超過による区分変更を回避できる可能性が高まります。
実例:アルバイト収入120万円でも奨学金区分が維持できた学生のケース
大学3年の学生Aさんは、飲食店のアルバイトで年間収入が120万円に達してしまいました。しかし年末調整で勤労学生控除を適用し、所得税はゼロに。市役所で発行された課税証明書も「非課税」となり、翌年度も同じ奨学金区分で継続できました。
このように、実際の収入金額以上に「課税の有無」や「証明書の記載内容」が奨学金継続の判断材料になります。
まとめ:収入が増えても焦らず対応を
給付奨学金とアルバイト収入の関係は複雑に見えますが、ポイントは「勤労学生控除を活用して非課税証明を得ること」です。収入が100万円を超えても、税務上の対応次第で奨学金の区分が変わらないケースも少なくありません。
不安な場合は、事前に税務署や市区町村の窓口、日本学生支援機構のサポートセンターに相談するのがおすすめです。正しい手続きと知識で、安心して学業とアルバイトを両立させましょう。
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