福祉目的で使用される「自家用特種車両(車いす移動車)」の自動車保険における用途車種区分は、一般的な乗用車や貨物車とは異なる扱いをされることがあります。保険会社によって対応が異なることもあり、見解が分かれるケースも少なくありません。本記事では、その判断基準と実際の取り扱いについてわかりやすく解説します。
自家用特種車両とは?
「自家用特種車両」とは、道路運送車両法上、特殊な用途に供する車として登録されているもので、例えば車いすの乗車設備が付いた福祉車両などが該当します。
これらの車両は、一般的にベースとなる車両(例:貨物車や乗用車)を改造・登録変更したものです。そのため、元の車両の種別や型式が重要な要素になります。
保険会社による用途車種の判断の違い
保険会社Aでは、ベースが「普通貨物2トン未満」ということで「自家用普通貨物」として扱われるケースがあります。一方、保険会社Bでは「型式不明の乗用車」に近い取り扱いから「自家用普通乗用車」とされる場合もあります。
これは、登録時の種別(車検証に記載の種別)や、実際の使用用途、積載構造などが異なる解釈につながるためです。
車検証と構造変更の届け出がカギ
用途車種の最終的な判断には、車検証の記載内容が非常に重要です。構造変更や用途変更の届け出を行っていない場合、ベース車両の種別がそのまま適用されるため、保険会社はその情報に基づいて区分します。
仮に、車いす移動車に改造されていても、車検証の種別が「貨物」のままであれば、保険会社は「貨物」として処理することが一般的です。
契約時の注意点と確認すべきこと
- 車検証の「用途」「種別」「型式不明」などの記載を確認
- 車両の改造証明や構造変更届出書類の有無を把握
- 保険会社に「福祉車両としての使用目的」であることを説明
- 複数社で見積もり・照会を行い、見解が分かれる場合は根拠を尋ねる
福祉車両に特化したプランや割引制度がある保険会社もあるため、それらを利用することでより安心・有利な契約が可能になります。
実際のトラブル事例と対処法
ある利用者は、同じ車両について2社から異なる用途車種で見積もり提示を受けたため、最終的に「型式指定番号」「類別区分番号」が空欄であることを理由に、乗用車扱いで契約されました。
このような場合、後の保険金請求時に契約内容と用途の相違で支払い拒否されるリスクがあるため、契約前に保険会社と十分に協議し、記録として残しておくことが望ましいです。
まとめ:安心して契約するために
自家用特種車両(車いす移動車)の保険用途車種は、車検証上の登録情報と保険会社の判断方針により異なる可能性があります。
車検証の記載と実際の構造・用途に食い違いがある場合は、事前に構造変更届を提出するか、保険会社に詳細な説明と確認を取ることで、後のトラブルを防げます。
可能であれば、福祉車両を多く扱う実績のある代理店を通じて相談・契約を進めるのが最も安心な選択肢です。
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