年金を支払っていると、思わぬ形で「払いすぎ」が発生することがあります。年金事務所や市区町村から「納めすぎている」と連絡があった場合、その金額は返金されるのでしょうか?本記事では「過誤納(かごのう)」と呼ばれる年金の払いすぎに関する制度と、返金を受けるための手続きについて詳しく解説します。
年金の過誤納とは?
過誤納とは、本来支払う必要のない保険料や税金などを誤って納付してしまった状態を指します。国民年金の場合、たとえば以下のようなケースが該当します。
- 二重に支払いをしていた
- 免除申請が承認された後も支払い続けていた
- すでに退職して厚生年金に切り替わっていたのに、国民年金を払い続けていた
このような場合、払いすぎた分は原則として返金の対象となります。
返金の仕組みと「過誤納金還付通知書」
年金の払いすぎが判明すると、日本年金機構や市区町村から「過誤納金還付通知書」が届くことがあります。この通知書には、過誤納となった金額と、返金を受け取る方法(指定口座など)についての案内が記載されています。
返金方法は基本的に、指定した銀行口座への振込となり、還付までにおおよそ2~3週間程度かかることが一般的です。
手続きが必要な場合とその方法
過誤納に気づいても、年金機構や市区町村からの連絡を待つだけではなく、自ら申請が必要な場合もあります。以下のような場合には、「国民年金過誤納還付申請書」の提出が必要です。
- すでに退職していて保険料を二重払いしていた
- 本人ではなく家族が支払いをしていた
- 免除や猶予の承認後も支払いを続けていた
申請書は日本年金機構の公式サイトからダウンロードできるほか、年金事務所の窓口でも入手できます。
返金されないケースもある?
原則として過誤納は返金されますが、以下のようなケースでは返金されない、または手続きできないことがあります。
- 還付対象となる金額が少額である場合(数十円など)
- 還付請求の時効(原則5年)が過ぎている
- 還付口座を指定せず通知にも応じなかった場合
これらのケースを避けるためにも、通知が届いた場合は速やかに対応することが大切です。
よくある実例と対応方法
たとえば、大学生が卒業後に就職し、厚生年金に加入していたにもかかわらず、自動引き落としで国民年金保険料を払い続けていた、というケースでは、約4か月分の保険料が過誤納となり、手続き後に返金された事例があります。
また、自営業の方が途中で会社勤務に変わり厚生年金に切り替えたのに、切り替えが役所で反映されておらず、自分で支払い続けていたケースでも返金対象となっています。
まとめ:過誤納があれば原則返金されるが、対応は早めに
年金の過誤納があった場合は、多くのケースで返金される仕組みになっています。ただし、自ら申告しなければならない場合や、時効で手続きができないケースもあるため、通知が届いたらすぐに年金事務所に問い合わせましょう。
年金の制度は複雑ですが、払いすぎたお金を取り戻すための制度もしっかり整備されています。少しでも疑問に感じたら、迷わず相談することが重要です。
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