障害年金の受給には、病気や障害の程度だけでなく、提出する書類の内容や医師の診断書の記載など、さまざまな要素が関係します。「収入が多いのに受給できている人がいる」という疑問も少なくありません。この記事では、障害年金の審査基準や、薬の量・診断書の重要性について詳しく解説します。
障害年金の受給は「日常生活の制限」が基準
障害年金の審査で最も重視されるのは、「障害があることによって日常生活や社会生活にどの程度の支障があるか」という点です。年金制度上の「障害の等級」は、医師の診断書や本人の申立内容などを基に判断されます。
例えば、フルタイムで働いていても、職場の特別な配慮のもとで勤務が成り立っている場合や、定型業務に限定されているような場合は「就労=健常」とは判断されません。
薬の量が審査に与える影響とは
服薬量が多い=重症、とは必ずしもなりませんが、服薬の内容や量は「症状の安定性」や「治療状況」を間接的に示す資料として診断書や申立書に記載されることがあります。
たとえば、1日10錠以上の精神薬を服用している場合、通常の生活維持が薬物療法に強く依存していることになり、症状が重度であることの一つの根拠になることがあります。
診断書の記載内容が受給可否を左右する
診断書は障害年金審査で最重要書類とされ、医師が具体的に記入する内容によって等級が大きく左右されます。特に「日常生活能力の判定」「仕事への影響」「服薬内容」などの欄が厳密に評価されます。
あるケースでは、通院時に医師に症状の波や就労時の困難を具体的に伝え続け、診断書にも「就労継続が困難な場面が多い」「常時周囲の配慮が必要」と記載されたことで、就労中でも障害等級2級が認定されたことがあります。
就労と年金は必ずしも矛盾しない
障害年金の制度では、就労=受給不可ではありません。障害者雇用で働いている人や、フルタイム勤務でも配慮のもとで働いている人は、年金受給の対象になり得ます。
例えば、年収700万円を得ていても、業務内容が限定的だったり、頻繁に体調を崩して休職を繰り返しているようなケースでは、障害年金の審査で考慮されます。ただし、収入が高すぎる場合、審査側から「本当に支障があるのか」と疑義をもたれるため、書類の整合性が一層重要になります。
申請時に意識したいポイント
障害年金の申請では、以下のポイントを意識することが重要です。
- 医師に現在の生活状況を具体的に伝え、診断書に反映してもらう
- 日常生活の困難さを日記やメモで記録し、申立書に活用
- 通院や服薬の内容を時系列でまとめておく
また、書類の準備や制度の理解に不安がある場合は、障害年金専門の社会保険労務士に相談するのも有効です。
まとめ:障害年金は「見えない障害」も正当に評価される制度
フルタイム勤務や高収入であっても、それがイコール健康とは限りません。障害年金は、本人の生活の困難さを、診断書や申立書を通じて伝えることがカギです。
薬の量や就労状況だけでは判断されず、それらを含む生活全体の実態が丁寧に評価される制度であることを理解し、適切な申請を行うことが大切です。
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