高齢の親が認知症を患っている場合、将来に備えて葬儀保険に加入させたいと考える方は少なくありません。しかし、本人が契約者となる保険には「意思能力」が求められるため、認知症が進行している場合には制限があるのが現実です。本記事では、家族が代わりに手続きを行う方法や、代替策について詳しく解説します。
認知症でも加入できる保険はあるのか
多くの生命保険や葬儀保険では、契約時に本人の意思確認が必要です。特に認知症と診断されている場合、保険会社によっては加入を断られるケースがあります。
ただし、軽度の認知症で本人の意思確認が可能な場合には、診断書や医師の確認書類の提出で加入できることもあります。保険会社ごとに判断基準が異なるため、まずは事前に相談してみるのが良いでしょう。
家族が契約者になることはできるのか
保険契約は通常、契約者(保険料を支払う人)と被保険者(保険対象となる人)が同一である必要はありません。そのため、家族が契約者となり、被保険者を認知症の親とすることは可能です。
ただし、被保険者本人の同意が必要であり、その意思確認が困難な場合は契約自体が無効になる可能性があります。
成年後見制度を活用するという選択肢
意思確認が難しい場合は、家庭裁判所を通じて成年後見人を選任する方法があります。成年後見人が正式に選ばれれば、保険契約をはじめとする法律行為を代行できます。
ただし、成年後見人が葬儀保険に加入できるかは保険会社の規約によるため、各社に個別確認が必要です。後見人制度は費用や手間がかかるため慎重に検討しましょう。
保険以外の代替手段も検討を
認知症の親のために万が一の備えをするには、預貯金を活用した死亡後の支払い計画や、互助会の事前積立なども一案です。
また、家族信託や遺言によって、葬儀資金の確保を事前に設計しておく方法もあります。これにより保険に頼らずとも、万全の準備が可能です。
実例:80代の親が認知症と診断されたケース
ある80代の男性がアルツハイマー型認知症と診断され、娘が成年後見人となって申請を行ったところ、保険会社によっては後見人による契約を認めるところもありました。
このケースでは、医師の診断書と家庭裁判所の選任決定書が必要となり、審査には1ヶ月以上を要しました。
まとめ:認知症でもあきらめずに選択肢を探る
葬儀保険は、認知症の進行状況や保険会社の規約によって加入の可否が左右されます。本人が意思を示せない場合でも、家族が契約者となる方法や成年後見制度を活用する道が開かれています。
まずは、複数の保険会社に相談し、最適なプランを検討することが大切です。併せて、保険以外の備え方も視野に入れ、安心できる終活の準備を進めましょう。
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