生活保護を受けている中でクレジットカードのキャッシングやリボ払いを利用し、借金が膨らんでいくケースは少なくありません。しかし、借金を意図的に増やすことで自己破産を狙うような行為には重大なリスクが伴います。本記事では、生活保護受給者のカード利用における注意点、借金と破産制度の実際、そして現実的な解決策について、わかりやすく解説します。
生活保護受給中でもクレジットカードは使えるのか
原則として、生活保護を受けていること自体でクレジットカードの保有や利用が法律で禁止されているわけではありません。ただし、扶助目的に反した過度な娯楽費や浪費は、ケースワーカーの調査対象になり、支給停止の可能性もあります。
また、借金をしてまで生活を補う状況であれば、それは生活保護制度の趣旨と矛盾しているため、福祉事務所との相談が必要です。
自己破産の基本条件と「借金額100万円ルール」の誤解
「100万円以上の借金がなければ破産できない」とよく誤解されがちですが、自己破産の要件は『支払い不能』であり、金額には明確な下限はありません。たとえば、収入がゼロに近く、借金50万円でも返済の見込みがなければ破産は可能です。
ただし、弁護士が「最低100万円は必要」と言う背景には、「費用対効果が見合わない」「裁判所の運用上、少額では免責が出にくい」といった現実的な事情があるためです。
借金を意図的に増やすリスク:免責不許可事由に該当する可能性
破産前提で借金を作る、という行為は、「浪費」や「詐欺的な借入」とみなされ、免責(借金が帳消しになること)が認められない可能性があります。
たとえば、「破産するために借金を200万円に増やした」という記録が残れば、裁判所はそれを計画的な免責回避目的と見なし、厳しく審査されます。最悪の場合、破産自体は認められても借金が帳消しにされず、負債だけが残るリスクもあります。
現実的な選択肢:債務整理や法テラスの活用
借金が少額でも返済が困難であれば、弁護士や司法書士に債務整理を相談するのが最善です。とくに生活保護を受けている場合、法テラスの無料法律相談制度を活用できます。
債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産の3種類があり、収入や支払い能力に応じて最適な方法が選ばれます。安易な借金の増加ではなく、法的手続きによる健全な解決が重要です。
実例:生活保護+少額借金でも破産が認められたケース
ある相談者は生活保護を受給しながら、クレジットカードで30万円の借金があり、返済が困難でした。弁護士に相談したところ、「金額は少ないが生活実態から支払い不能が明らか」として破産申立てが行われ、免責も無事に認められました。
このように、金額の大小よりも「返済不能かどうか」が審査のポイントとなるのです。
まとめ:借金を増やして破産を狙うのは危険、正当な法的支援を
生活保護受給者が安易に借金を重ねて破産を狙うのは、免責不許可という重大なリスクを伴います。むしろ、現時点で支払いが困難であれば、無理に借金を増やすのではなく、専門家に早期相談することが重要です。
法テラスや自治体の無料相談窓口を通じて、正当な債務整理手続きを進めることで、生活再建の道が見えてくるはずです。
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