障害基礎年金を受給している方の中には、「所得が増えたら支給はどうなるの?返金の義務はある?」と不安になる方も少なくありません。特に20歳前傷病による受給者の場合、「所得制限470万円」が一つの大きな基準となります。本記事では、制度の仕組みと支給停止時の対応についてわかりやすく解説します。
障害基礎年金には「所得制限」がある
障害基礎年金は、20歳以降に初診日がある場合と、20歳前に初診日がある場合で制度が異なります。20歳前傷病による障害基礎年金は「非課税である代わりに、所得制限」が設定されています。
2025年度時点での基準額は、扶養親族等の数に応じて、年間収入が約470万円を超えると支給が停止される可能性があります。
支給停止になったら返金は必要?
結論から言うと、所得制限によって年金の支給が停止された場合でも、過去に支給された年金を返金する必要はありません。あくまで「将来の支給が一時的にストップする」という仕組みです。
ただし、受給者本人または扶養親族の所得が一時的に基準額を超えても、翌年度の支給分に反映されるまで1年のラグがあるため、状況によっては注意が必要です。
所得制限の基準となる「所得」とは?
「所得制限470万円」という言葉だけでは判断が難しいですが、実際には「課税所得」を基準に判定されます。以下のような項目が対象です。
- 給与所得:収入から給与所得控除を引いた後の金額
- 事業所得:収入から必要経費を引いた後の金額
- 年金所得などの合算
そのため、給与収入が年収ベースで470万円以上でも、控除額によって所得制限に該当しないケースもあります。
所得が回復したら再び支給されるのか?
はい。翌年の所得が制限以下に戻れば、障害年金の支給は再開されます。支給停止は一時的措置であり、年ごとの見直しがあるため、一度停止になっても失権にはなりません。
ただし、自治体や日本年金機構への届け出や、所得申告が正確に行われていない場合は、支給再開に時間がかかることもあります。
届け出のタイミングと注意点
所得制限の審査は、毎年6月頃に「所得状況届」によって判断されます。前年の所得に基づいて支給可否が決まるため、正確な情報を漏れなく提出することが重要です。
もし届け出をしない場合、年金は自動的に停止されてしまう恐れがあるため、注意しましょう。なお、支給停止中であっても、障害等級に変更がある場合には「障害状態確認届」の提出が必要です。
まとめ:470万円超えても「返金」は不要、支給停止だけ
障害基礎年金は、所得制限を超えたからといって「返金義務が生じる」ものではありません。ただし、年金の支給が停止されることはありますので、年次の収入計画や控除の管理は非常に重要です。
不安がある場合は、年金事務所や専門の社会保険労務士に相談することをおすすめします。正確な理解と対応で、大切な支援制度を賢く活用しましょう。
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