給与支払報告書を出さないとどうなる？罰則や税務リスクをわかりやすく解説

給与支払報告書は、従業員に給与を支払った事業者が各自治体へ提出する義務がある書類です。提出されることで住民税の計算や徴収が行われますが、「提出しなかったらどうなるの？」という疑問を抱く人も少なくありません。この記事では、給与支払報告書の重要性と未提出時のリスクについて解説します。

給与支払報告書とは何か？

給与支払報告書とは、企業や個人事業主が給与を支払った相手についての所得情報を市区町村へ報告する法定調書の一種です。

主に住民税の課税資料として使用され、提出先は従業員が住民票を置く自治体になります。たとえ源泉徴収をしていないアルバイトやパート相手でも、給与を支払っていれば基本的に提出義務があります。

確かに「給与支払報告書の未提出で逮捕」というニュースはあまり聞きません。これは多くの場合、税務署や市区町村からの指導や催促で是正されるためです。

つまり、提出漏れがあっても即刑事事件化されることは少なく、「自主的な修正」を促すのが通常の対応です。

しかし、悪質と判断された場合は、地方税法第321条の6に基づき、提出義務違反として過料（5万円以下）が科される可能性があります。

さらに、税務署との整合性が取れない場合には、税務調査や追徴課税の対象となる可能性も否定できません。提出しないことで結果的に脱税とみなされる恐れもあります。

ネット上では「一度も提出してないけどバレない」と語る声もありますが、それはあくまで偶然見逃されているだけです。税務署は数年単位で遡って調査を行うこともあり、過去の不備がまとめて指摘されるケースもあります。

実際に、フリーランスや個人事業主が無申告状態で数年後に追徴課税を受け、数百万円単位の支払いを求められた事例もあります。

給与支払い報告書を出さずとも、帳簿や銀行口座を見れば「給与支払いの事実」は分かります。税務署が調査に入れば隠すのはほぼ不可能です。

特に昨今はマイナンバー制度によって、複数の情報が紐付いて自動的に照合されやすくなっています。

過去に提出漏れがあった場合でも、今からでも提出・相談することでペナルティが軽くなる可能性は十分にあります。税理士や市区町村の税務担当に相談してみるのが得策です。

意図的な隠蔽ではなく、単なる認識不足と認められれば、過料が科されずに済むケースもあります。

給与支払報告書は法定の義務であり、提出しないことには税務的リスクやペナルティが伴います。現在は見逃されていても、数年後に発覚して重い負担を負うこともあるため、「世の中楽勝」と油断するのは危険です。

正しい手続きで、安心できる経営・副業ライフを目指しましょう。