確定申告の際に「どの金額を売上として申告すべきか」は、業務形態によって異なるため迷うことが多いです。特に下請け業務や委託業務で報酬からマージンが差し引かれるケースでは、正しい記載方法を知っておくことが重要です。この記事では、売上金額の記載ルールや注意点について具体的に解説します。
売上の基本的な考え方:総収入金額で記載する
確定申告書に記載する売上(収入)金額は、「あなたが実際に取引先に請求した金額」または「契約上の報酬総額」となります。つまり、100万円の売上が契約上あなたの報酬であり、その中から手数料が控除された場合でも、売上としては100万円を記載するのが原則です。
一方、受け取った金額80万円だけを売上とすると、20万円の手数料がどこに消えたのかが税務署にとって不明瞭になるため、正確な経費処理もできなくなります。
マージン(手数料)は経費として計上
仮に100万円が元請企業からの報酬で、その中から20万円のマージンが引かれてあなたに80万円が支払われた場合、売上に100万円を記載し、マージン20万円は「支払手数料」などの経費として処理します。これにより、所得は80万円となり、実態に即した計上が可能です。
【記帳例】
売上:1,000,000円
支払手数料(外注費):200,000円
差引所得:800,000円
マージンを差し引いた金額を売上とするケースは?
例外として、業務委託契約が「報酬80万円で合意された」場合は、そもそも売上自体が80万円となるため、この場合は80万円が売上で問題ありません。しかし、元の報酬額が明記され、マージンが差し引かれている形式であれば、それはあくまで手数料であると見なされます。
あなたが発行した請求書や契約書の記載が「報酬100万円」となっていれば、その金額を売上に記載すべきです。
帳簿と証拠資料の整合性が大切
確定申告では「収入の根拠」となる証拠資料(請求書・契約書・支払明細)を保存しておく必要があります。これらの書類が「総額100万円の業務」と明記されている場合、売上として100万円を記載し、そこからマージンや経費を差し引いて所得を計算するのが正しい処理です。
国税庁の確定申告ガイドにも売上と経費の考え方が詳しく掲載されていますので、不安があれば確認しましょう。
まとめ:売上は総額で、マージンは経費で処理が基本
下請け業務においては、「報酬総額(マージン差引前)」を売上として記載し、マージンは経費として処理するのが原則です。これにより税務的にも整合性が取れ、正確な所得の申告につながります。
トラブルを防ぐためにも、契約書や請求書の内容をよく確認し、帳簿をしっかりつけることが大切です。不安な場合は、税理士や税務署の無料相談を活用するのもおすすめです。
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