親の介護費用を子が立て替えるというケースは、今や珍しいものではありません。しかし、後から返金を受ける際には税務的な注意点も含め、方法をよく考える必要があります。
介護費用を立て替えた経緯を明確にしておく
介護施設の入居時に親の通帳が手元になく、子が費用を立て替えるという状況は想定されるケースです。この場合、後で親の口座から返金を受ける際には「贈与」ではなく「立替金の返済」であると示す証拠が重要です。
たとえば、費用の支払い明細、通帳の引き落とし記録、メールやLINEでの親とのやりとり、メモ書きなど、できるだけ多く残しておくと安心です。
返金の方法① ATMで少しずつ引き出す
ATMで少しずつ返金を受ける方法は、一度に大きな金額を動かさないためリスクが少なく、税務署からも目をつけられにくいという利点があります。
ただし、400万円というまとまった金額をATMで引き出すのは現実的に時間がかかりすぎます。月に10万円ずつだと完了まで3年4か月以上かかる計算になります。
返金の方法② 窓口でまとめて返金を受ける
銀行の窓口で、親が同席のうえで返金を受ける方法であれば、本人の意思による支払いと認められやすく、まとまった金額でもスムーズに引き出せます。
この際、「立替金の返済です」と窓口で明確に伝えることが重要です。金融機関によっては立替内容の説明書類や簡易的な覚書を求められることもあります。
贈与税のリスクを避けるには
贈与税は、1年間に110万円を超える金額を無償で受け取った場合に発生します。しかし、立替金の返済であれば贈与ではなく「債務の履行」に該当するため、贈与税の対象にはなりません。
ただし、税務署に「実態は贈与では?」と疑われると申告漏れとされる可能性もあります。返済を受ける際には、その理由や経緯を記したメモや、本人同意の確認書などを手元に残しておくと安全です。
包括委任状がある場合の取り扱い
包括委任状を使って、親の代わりに子が口座管理を行っている場合、金融機関でも返金対応がしやすくなります。ただし、あくまでも親の意思に基づく出金であることを明確にしなければなりません。
可能であれば返金時に親と一緒に窓口へ行き、本人確認と意思の確認をしてもらうと安心です。
返金を受ける際の注意点とアドバイス
- 立替えた介護費用の内訳をリストアップしておく
- 返金の記録(通帳記帳や出金明細)を保存する
- 返金の目的や時期を簡単に書面にしておく
- 税理士や信頼できる専門家に一度相談する
まとめ:返金は窓口で明確に「立替金」と伝えるのが安心
400万円というまとまった金額を返してもらうには、親と一緒に銀行窓口へ行き、本人の意思であることを伝えたうえで「立替金の返済」と明確に説明する方法がベストです。
贈与税を避けるには、返金の目的や経緯を証明できるよう準備をしておくことが重要です。ATMよりも窓口での一括返金をおすすめします。
コメント