これまで多くのパート主婦にとって目安となっていた「年収106万円の壁」が、2025年以降大きく変わろうとしています。特に注目されているのが、年収ではなく“労働時間”が社会保険加入の判断基準になるという点です。「扶養内で働いて節税・節保したい」と考える方にとっては大きな分岐点となるこの制度改正を、具体例とともにわかりやすく解説します。
年収106万円の壁とは?
「106万円の壁」とは、パートなどで働く人が一定以上の年収になると、配偶者の扶養から外れて健康保険や厚生年金に自ら加入しなければならなくなるラインです。対象になる条件は以下の通りでした。
- 年収が106万円以上
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 従業員101人以上の企業に勤務
- 月額賃金8.8万円以上
- 学生でない
これらすべてに該当した場合、社会保険加入が義務付けられます。
2025年からの変更点とは?
2025年10月より、適用企業の規模がさらに縮小され、従業員数51人以上の企業にまで拡大されます。つまり、中小企業に勤めている方でも、「週20時間」以上働いていると、扶養の外で社会保険に入る必要が出てくる可能性が高くなるのです。
この変更により、「年収を抑えればセーフ」という考え方ではカバーしきれなくなり、「週の労働時間を意識」することが重要になります。
週20時間以上=社保加入?勘違いが生む“落とし穴”
例えば、兄嫁が「週3勤務だから大丈夫」と考えていたとしても、1日7時間×週3日=21時間となれば、週20時間を超えるため、社会保険の加入対象になります。
一方で、1日5時間×週3日=15時間であれば加入義務はありませんが、出勤日数の変動やシフト追加で20時間を超えてしまうケースもあるため、勤務状況には細心の注意が必要です。
社会保険加入で手取りはどう変わる?
社会保険に加入すると、月あたり約1.3万円〜2万円程度の手取り減少になるケースがあります。
その一方で、厚生年金の加入により将来の年金受給額が増えたり、健康保険が充実したりといった長期的なメリットもあります。「損」と考えず、トータルでの保障と収支バランスを見て判断するのが賢明です。
扶養内で働き続けるには?
今後も扶養の範囲で働きたい場合、以下の点を意識しましょう。
- 週20時間未満の勤務に抑える
- 年収130万円未満(自営業の配偶者の場合)を維持
- 従業員50人以下の企業で働く
- 年末に収入調整をしすぎると職場に迷惑がかかる点にも注意
自分の勤務先がどの範囲に該当するかを、人事や労務担当に確認することも重要です。
まとめ:働き方の“見直し”がカギ
2025年以降、「106万円の壁」は“週20時間の壁”へと姿を変えます。パートやアルバイトで働く主婦にとっては、制度を正しく理解し、自分にとって最適な働き方を見つけることが求められます。
短期的な手取り減に一喜一憂せず、長期的な保障や年金の受け取りも含めてトータルで判断することが、賢い選択につながるでしょう。
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