後期高齢者医療制度における高額療養費制度の自己負担限度額と所得区分の見方

社会保険

高額な医療費がかかった際に家計の負担を軽減してくれる「高額療養費制度」。特に高齢の親族が入院した場合、自己負担限度額がいくらになるのか、誰の所得で判断されるのかなど、制度の仕組みは複雑です。本記事では、後期高齢者医療制度に加入している親が同居している場合の自己負担限度額の決まり方について、わかりやすく解説します。

後期高齢者医療制度の対象者と仕組み

75歳以上の方(または一定の障害がある65歳以上)は、原則として後期高齢者医療制度に加入します。これは市区町村が運営する医療保険制度で、他の健康保険とは別枠で管理されます。

そのため、たとえ同じ世帯に社会保険加入者がいても、後期高齢者医療制度加入者の医療費に関する自己負担限度額はその本人の所得を基準に判定されます。

自己負担限度額の区分は本人の所得で決まる

後期高齢者の高額療養費制度における自己負担限度額は、「所得区分」によって次のように分類されます。

  • 現役並み所得者(課税所得145万円以上など)
  • 一般(課税されているが現役並み未満)
  • 住民税非課税世帯(年金収入等により)

たとえば、年金収入が年間140万円で、その他の収入がなければ、多くの場合「住民税非課税世帯」に該当します。つまり、このケースでは最も負担が軽い区分となる可能性が高いです。

同居家族(夫や子供など)の所得は影響する?

基本的には影響しません。後期高齢者医療制度においては、世帯全体の所得ではなく本人とその世帯主の所得が考慮されます。ただし、世帯主が後期高齢者本人以外の場合、その世帯主(たとえば息子)の所得が一定額を超えていれば、影響する可能性があります。

ただし、住民票上の「世帯」が分かれていれば、影響を受けない場合が多いです。このため、「住民税非課税世帯」として認定されるかは、世帯構成と住民票上の続柄に左右されることもあります。

実際の負担額の目安(2024年現在)

住民税非課税世帯の場合、月の自己負担限度額は以下のようになります。

所得区分 外来(個人単位) 外来+入院(世帯単位)
住民税非課税世帯Ⅰ 8,000円 24,600円
住民税非課税世帯Ⅱ 8,000円 15,000円

※非課税Ⅰ・Ⅱの区分は、年金収入と他の条件によって異なります。

不安なときは役所や広域連合へ相談を

住民税の課税状況や世帯構成によって区分が変わることがあるため、不安な場合はお住まいの市区町村役所の国保・後期高齢者医療課、または広域連合に確認するのが確実です。

また、限度額適用認定証の交付申請をしておくと、窓口負担があらかじめ減額されるので安心です。

まとめ:高額療養費の区分は“誰の保険か”がカギ

後期高齢者医療制度における自己負担限度額は、同居している世帯の他の家族の年収や保険制度とは原則的に無関係です。ご本人の所得・住民税課税状況に基づいて判定されます。

年金のみで住民税非課税であれば、最も低い自己負担限度額で済む可能性が高く、安心して医療を受けられる制度設計になっています。

ただし、念のため住民票上の世帯構成と、世帯主の所得状況も確認し、必要なら市区町村窓口で相談をおすすめします。

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