近年、少子高齢化や単身世帯の増加により、親族や友人に生命保険の受取人になってほしいと依頼されるケースが増えています。特に身寄りが少ない人からの依頼は、断りづらいものです。しかし、受取人になることには責任やリスクも伴います。本記事では、保険受取人に指名されることの意味と注意点を解説します。
保険の受取人とは?基本的な役割を確認
生命保険の受取人とは、被保険者が亡くなった際に保険金を受け取る人のことを指します。基本的に受取人は保険契約者が自由に設定できますが、原則として相続や経済的なつながりがある親族が選ばれることが多いです。
従姉妹のような二親等の親族でも法律上問題はなく、被保険者の意思があれば設定できます。ただし、相続トラブルや税務上の注意が必要になるケースがあります。
受取人になるメリットと負うべき責任
受取人として指名されることで、将来的に保険金を受け取れる可能性があります。しかし、以下のような責任も伴います。
- 保険金請求手続きの実行
- 場合によっては他の親族への説明や配慮
- 高額保険の場合の税務申告
特に「高額な保険金」や「他に相続人がいる場合」には慎重な対応が必要です。
税金の扱い:保険金には税がかかる可能性も
生命保険金にかかる税金は、契約者・被保険者・受取人の関係によって異なります。今回のように親族(従姉妹)間で受取人になるケースでは、以下のような税の対象になる可能性があります。
- 契約者と被保険者が従姉妹、受取人が自分→贈与税の対象
- 契約者・被保険者が同一で受取人も同一→相続税の対象
贈与税は基礎控除が年間110万円と低く、場合によっては高額な納税義務が発生することもあります。
トラブルを避けるために確認すべきポイント
受取人になる前に以下の点を確認しておきましょう。
- 保険金額の確認:高額すぎないか
- 保険契約の名義:誰が契約者・被保険者か
- 他に親族・相続人がいないか:トラブル回避のため
- 自分の税務上の影響:贈与税や相続税の有無
できれば、契約時の内容をコピーで共有してもらう、税理士に相談するなど慎重な姿勢が求められます。
断ることは失礼ではない
精神的・法律的に負担を感じるなら、無理に引き受ける必要はありません。「トラブルになる可能性がある」「税金のことが不安」と正直に伝えるのは、決して冷たい対応ではありません。
代わりに「行政書士や信託制度を使う方法もある」と提案するのも選択肢です。
まとめ:保険の受取人になる前に冷静な判断を
従姉妹から保険受取人を頼まれたとき、感情的に判断せず、契約内容・金額・税務リスクなどをきちんと把握した上で判断しましょう。善意がトラブルを招く可能性もあるため、必要であれば専門家へ相談することをおすすめします。
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