障害年金の申請で重要なのが“初診日”と、それに基づく一定期間の通院履歴です。本記事では『社会的治癒』という例外規定も含め、初診日の扱いと通院条件について具体的な実例を交えながらわかりやすく解説します。
初診日と通院履歴の基本ルール
障害年金では、初診日から原則として「1年6か月以上の継続的な診療」が必要です。これは、障害状態が医師の診断によって継続的に確認されていることを示すためです。
例えば、2019年1月に初診を受け、その後毎月継続して通院していれば、2020年7月までの記録が揃っているとみなされます。
通院間隔が空いた場合の取り扱い
初診後に通院が単発2回で中断し、3年後に再び診察を受けた場合、通院履歴が継続していないため、“再スタート”扱いではなく基本的には初診日は変更されません。
しかし、3年の間に治療歴がないことで「通院の継続」が途切れており、申請に必要な1年6か月の診療記録が初診日から集まりにくくなるのが現状です。
社会的治癒とは何か?例外的な初診日変更の可能性
『社会的治癒』とは、特定の条件下で医療機関での治療が実質的に続いているとみなされる制度です。たとえば、治療目的で海外に留学していた、転院後すぐ別の専門医に通っていたケースなどです。
ただし、社会的治癒が認められるためには「継続性」「因果関係」「治療目的の一貫性」などが厳密に要件となります。
社会的治癒が認められやすい実例
例:初診後6か月間はA病院で通院し、その後海外留学中に現地で治療継続、更に帰国後にB病院で同じ病気の治療を継続した場合、通院の途切れが社会的に補完され初診日が維持される可能性があります。
ただし、これは稀なケースであり、認められるかは審査機関の判断次第です。
例外的な再スタートがどうなるのか?
通院が2回で途切れ、3年後に再び診察を受けたケースでは、社会的治癒が認められない限り、初診日は変更されず、その後1年6か月の連続通院歴を揃えられるかが焦点になります。
つまり、再受診から1年6か月経過の通院歴が必要となりますが、初診日自体は変わらず社会通念上の証明が求められます。
審査に備えるためのポイント
・通院記録や紹介状、医療内容の一貫性を可能な限り証拠として揃える。
・社会的治癒を主張する場合は、留学先や他医療機関の証明が必要。
・担当医に意見書を依頼し、「初診日から現在まで障害状態が続いている」ことを文章化してもらう。
これらの資料を整えて厚生労働省や年金事務所へ申請すれば、例外的な認定の可能性も高まります。
まとめ
障害年金では、初診日から1年6か月の通院継続が基本ルールですが、社会的治癒の要件を満たせば、事実上途切れをカバーすることも可能です。ただし、これは例外かつ審査が厳格なため、通院履歴や証拠書類を十分に揃えて申請することが極めて重要です。
再度診察を始める場合でも、初診日から通算した記録を示せるよう、計画的に準備しましょう。
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