親を扶養から外すと税金・保険料はどう変わる?高齢の親と同居する世帯の注意点

社会保険

高齢の親と同居している場合、「扶養に入れるか・外すか」は節税面や保険料負担に大きく影響します。特に年金受給世代の親を税法上の扶養に入れることで、所得控除が受けられたり、親自身の保険料が変動したりすることがあります。この記事では、扶養から外した場合に夫の所得税や住民税、親自身の介護保険料・健康保険料がどう変わるかを解説します。

税法上の扶養控除とは?

税法上、配偶者や親族を扶養に入れると「扶養控除」が適用され、所得税・住民税の計算時に課税対象額が減ります。70歳以上の親を扶養している場合、同居老親等扶養控除として最大58万円(所得税)、45万円(住民税)が控除されます。

夫の年収が750万円の場合、扶養控除を外すと以下のような税負担増が見込まれます。

  • 所得税:約8.7万円~9.8万円 増
  • 住民税:約4.5万円~5.0万円 増

※実際の金額は控除適用後の課税所得額や市区町村により異なります。

親の所得要件と扶養の可否

扶養控除の対象となるには、親の年間所得が48万円以下(年金収入のみなら158万円以下)である必要があります。今回のケースでは、年金が年間60万円であれば扶養控除の対象条件に該当する可能性が高いです。

そのため、現在の条件であれば扶養に入れることで控除メリットが得られます。

扶養から外した場合の親の保険料負担

後期高齢者医療制度では、住民税非課税世帯かどうかで保険料が変動します。親が扶養から外れると、住民税の課税判定が変わるため、保険料が上がる可能性があります。

介護保険料についても同様で、所得段階が1段階上がると年間で5,000円~1万円程度の負担増となるケースがあります。

たとえば親が住民税非課税の世帯であった場合、保険料は最も安い「第1段階」または「第2段階」に該当していたはずですが、扶養を外して個別課税対象となると「第4~6段階」に上がる可能性もあります。

節税以外の扶養のメリットとは

扶養に入れておくことで得られるのは税制上のメリットだけではありません。自治体によっては、住民税非課税世帯を対象とした介護サービスの自己負担軽減や、医療費助成、公共料金の減免制度もあります。

扶養を外すことでこれらの恩恵が受けられなくなることもあるため、単純に「税金が少し高くなるから…」という理由だけで判断すると損をするケースもあるのです。

見直しのポイント:実際の負担額をシミュレーション

扶養から外した際の影響を正しく把握するには、次のポイントで試算することが重要です。

  • 世帯主(夫)の税負担増:扶養控除の喪失による所得税・住民税の増額
  • 親の保険料増:後期高齢者医療保険・介護保険の段階上昇による負担増
  • 自治体の非課税優遇制度の適用除外

これらを総合的に見て「扶養に入れておく方が得」となるケースは非常に多いです。

まとめ:税・保険・制度のトータルで判断を

高齢の親を扶養に入れておくことは、税制上だけでなく、保険料や公的サービスの面でもメリットがあります。今回のような年金額が少ないケースでは、扶養を継続することで年間10万円以上の差が出ることもあるため、慎重に判断しましょう。

迷った場合は、国税庁のホームページや、お住まいの自治体の保険課・介護保険窓口に相談することをおすすめします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました