高額な自動車をローンで購入する人は多くいますが、中には支払いを途中で止めたり、所在を隠して債務を回避しようとするケースもあるようです。しかし、果たして本当にそんなことが可能なのでしょうか?この記事では、車のローンの「飛ばし(踏み倒し)」が現実的なのか、リスクや時効、そして債権者の対応について詳しく解説します。
ローン契約には法的拘束力がある
自動車ローンは消費貸借契約または割賦販売契約として法的な拘束力を持ちます。つまり、契約者が一方的に支払いを止めたからといって、債務が消えることはありません。
特に信販会社(オリコやジャックスなど)を介したローンでは、車両の所有権は完済まで信販会社にある「所有権留保」方式が一般的です。これにより、支払いが滞ると車の引き上げ(差押え)が法的に可能になります。
車を隠すことでローンは逃れられるのか?
車を別住所などに一時的に隠すことで、回収を妨害する人もいますが、それは一時しのぎにすぎません。債権者は債務者の住所変更を追跡したり、調査会社や弁護士を通じて情報収集することが可能です。
また、車両の位置が特定されると、裁判所を通じた強制執行や、警察への通報(占有離脱物横領罪に該当することも)といった手段も取られます。逃げることで状況が悪化するケースも多々あります。
債務不履行のリスクと信用情報への影響
ローンを踏み倒すと、個人信用情報機関(JICC、CICなど)に事故情報(いわゆるブラックリスト)として登録されます。これにより、以後のクレジットカード、住宅ローン、携帯電話の分割購入まで、幅広い信用取引が制限されることになります。
また、支払いの遅延・放置が長期化すると、債権回収会社に債権が譲渡され、より厳格な取り立てに発展するケースもあります。
ローン債務の時効は存在するが簡単ではない
債務には時効がありますが、たとえばローン契約に基づく債権は5年(商事債権)または10年(個人間債権)とされます。
しかし、この時効は「時効の援用」という手続きが必要で、単に逃げていても成立しません。しかも、債権者が内容証明の送付や訴訟を起こせば、時効が中断し、再びリセットされる点に注意が必要です。
現実的な対処法:返済が困難な場合はどうする?
もしもローンの返済が困難になった場合、正規の手続きでリスケジュール(返済条件の見直し)を申し出ることが可能です。信販会社や銀行は相談窓口を設けており、早期に申し出れば回収手続きを待ってくれることもあります。
また、最悪の場合は任意整理や自己破産など、法的な債務整理手段を弁護士と相談する選択肢もあります。
まとめ:ローン逃れはできない、誠実な対応がカギ
車のローンを「飛ぶ」ことは、たとえ一時的に車両の引き上げを避けられたとしても、法的にも信用上も重大なリスクを伴います。債務は時効で消えるわけではなく、踏み倒すのは現実的ではありません。
返済が厳しいと感じた時点で、誠実に金融機関に相談し、問題を先延ばしにしないことが最善の選択です。
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