入院や高額な医療費がかかる治療を予定しているとき、医療費の負担を軽減できる制度として「高額医療費貸付制度」が注目されています。今回は限度額適用認定証との違いや、貸付申請中に退院となった場合の支払い対応についても詳しく解説します。
高額医療費貸付制度とは
高額医療費貸付制度とは、健康保険組合が高額療養費の支給に先立って、自己負担限度額を超える部分の医療費を無利子で一時的に貸し付ける制度です。高額療養費は申請後に支給されるため、支給までの資金的な負担を軽減する目的があります。
例えば、70歳未満で年収約370万円〜770万円の方の場合、1ヶ月の自己負担限度額はおおよそ80,100円(+α)ですが、会社の健保によっては独自の上限設定があり、たとえば「自己負担44,000円」といったケースもあります。
限度額適用認定証との違い
限度額適用認定証は、医療機関の窓口で提示することで、その場での支払いを自己負担限度額に抑えられる仕組みです。対して、高額医療費貸付制度は、いったん全額を支払い、後日貸付と支給の手続きを踏む点が異なります。
限度額適用認定証を事前に申請できる場合は、そちらのほうがスムーズな支払いになるため、状況に応じた選択が大切です。
貸付制度を申請していて退院日が早まったら?
貸付制度は申請から実際の貸付実行までに日数がかかるため、退院日までに貸付金が届いていないということはよくあります。その場合でも、病院側は貸付申請中であることを説明すれば対応してくれる場合がありますが、原則として、退院時に自己負担分(例:44,000円)+食事代・差額ベッド代などの実費を支払う必要があります。
退院時にすぐ支払いが難しい場合は、病院の会計窓口に相談しましょう。事情を説明することで、支払期日を柔軟に対応してくれることもあります。
貸付制度の申し込み方法と注意点
高額医療費貸付制度の申し込みは、勤務先の健康保険組合または人事部門を通じて行います。申請には以下のような書類が必要になることがあります。
- 高額医療費貸付申込書
- 入院予定日と治療内容の分かる書類
- 振込先口座情報
- 本人確認書類のコピー
なお、貸付制度はあくまで「貸付」であり、後に高額療養費として健康保険から支給された金額は返済に充当されます。余った金額があれば本人に支払われる仕組みです。
医療費の支払いに不安があるときの対策
高額医療費貸付制度のほか、以下のような制度や方法も検討しましょう。
- 限度額適用認定証:窓口での支払いを抑えることが可能
- 医療費控除:確定申告で所得税の軽減が期待できる
- 市区町村の医療費助成制度:特定の所得・年齢要件で給付を受けられる可能性あり
どの制度を利用すべきか迷った場合は、病院の医療相談窓口や職場の担当者に事前に相談するのがベストです。
まとめ
高額医療費貸付制度は、入院や手術といった高額な医療費に備える心強い仕組みです。貸付金の振込タイミングと退院日がずれるケースもあるため、自己負担分の支払いを準備しつつ、病院や職場に相談しておくと安心です。限度額適用認定証との違いを理解した上で、状況に合った制度を上手に活用しましょう。
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