近年、副業やフリーランスとして働く若年層が増えており、中学生でも業務委託や個人事業主として収入を得るケースが見られます。特に青色申告を行うほどの本格的な活動となると、所得税や扶養控除の扱いも気になるところです。この記事では、中学生(15歳)の個人事業収入に関わる税制や親の扶養に与える影響について詳しく解説します。
中学生でも所得税の対象になることはある
中学生であっても、年間の所得が一定額を超えると課税対象となります。年齢にかかわらず、課税所得の計算方法は原則として同じであり、所得控除を差し引いた後の金額に課税されます。
業務委託での収入は「事業所得」や「雑所得」として扱われ、青色申告を行う場合は最大65万円の控除を受けることが可能です。たとえば、収入が160万円であれば、経費と青色申告特別控除を合わせて所得を減らし、結果として所得税がかからない可能性もあります。
「160万円の壁」は何を指しているのか
よく話題にされる「160万円の壁」は、2023年以降注目された「所得税非課税の限度額」の目安の一つであり、主に扶養の可否や住民税・社会保険への影響を意識したものです。
ただし、正確には扶養控除の対象かどうかや、非課税になるかは「所得金額(収入−必要経費等)」によって決まります。たとえば、青色申告控除(65万円)や基礎控除(48万円)を差し引いた結果、課税所得が0円なら税金は発生しません。
15歳の子どもは親の扶養控除の対象になる?
現在の税制上、16歳未満の扶養親族に対しては、所得税上の扶養控除(所得控除)は認められていません。つまり、15歳の子どもがどれだけ稼いでいても、親はその子を扶養控除対象として申告できません。
一方で、住民税の扶養控除には対象となることがありますが、自治体によって詳細が異なるため、具体的な内容は住民票所在地の役所に確認が必要です。
青色申告は未成年でも可能?要件と注意点
青色申告は、年齢に関係なく事業を行うすべての個人が申請可能です。15歳の中学生でも税務署に開業届と青色申告承認申請書を提出すれば制度を利用できます。
ただし、税務署が「営利性・継続性・独立性」があると認めた場合に限られます。たとえば、定期的に報酬を得ており、業務契約も明確であれば承認されやすいでしょう。
扶養から外れることの影響とは
仮に所得が高くなり、子ども自身が扶養控除の適用を外れることになっても、16歳未満なら元々扶養控除の対象ではないため、親の所得税に影響はありません。
ただし、子どもが自分で確定申告を行い、所得税や住民税の納付義務が生じる場合は注意が必要です。とくに青色申告では、帳簿の作成や収支内訳の管理も求められるため、親の支援や税理士のサポートを受けるのが現実的でしょう。
まとめ|中学生の事業収入と税務管理は慎重に
・15歳でも業務委託で得た収入が一定額を超えれば課税対象
・青色申告により最大65万円の控除を受けることが可能
・「160万円の壁」は扶養や非課税ラインの目安であり、実際は所得計算により変動
・16歳未満は親の所得税上の扶養控除対象外
・確定申告や帳簿管理には大人の支援が不可欠
未成年の事業収入は、税務上も社会的にも新しい分野ですが、適切に理解し対応すれば将来の資産形成にもつながります。必要に応じて専門家のアドバイスを受けることも検討しましょう。
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