会社が保険組合から社員の診療情報を勝手に取得できる?個人情報保護と閲覧制限の仕組みを解説

社会保険

会社に勤めていると、健康保険組合を通じて医療費の情報が管理されていることに不安を感じる方も多いかもしれません。「自分の診療履歴が会社に勝手に知られてしまうのでは?」という疑問について、制度上の仕組みや法的な制限を踏まえて解説します。

診療情報は保険者(健保組合)が管理している

会社員が加入する健康保険組合(いわゆる「健保組合」)は、医療費の請求処理に関わる関係上、加入者の診療報酬明細(レセプト)や処方内容、通院履歴などのデータを保有しています。

しかしこの情報は「被保険者個人の医療情報」であり、企業(勤務先)とは別の独立した組織で管理されています

会社が診療情報にアクセスすることはできるのか?

結論から言えば、会社が社員の医療情報を健保組合から勝手に取得することはできません

厚生労働省の指導により、医療情報は個人情報保護法に基づいて厳格に管理されており、会社が従業員の診療情報を閲覧するためには、本人の同意が必要です。

例外的に情報共有が認められるケース

例外的に、以下のような状況では一部の情報が共有される場合があります。

  • 労災申請時(会社が証明書類を出す場合)
  • 傷病手当金の申請で本人が会社にも書類を提出した場合
  • ストレスチェックや健康診断結果を基に産業医対応が行われる場合(ただし本人同意が前提)

それでも原則として、診療内容の詳細までは共有されません。

個人で診療履歴を確認する方法

会社ではなく、本人が自身の診療明細や医療費の履歴を確認したい場合は、以下のような手段があります。

  • 健康保険組合のマイページにログイン(利用には登録が必要)
  • マイナポータルと連携し、「医療費通知」機能を利用する
  • レセプトの開示請求(個人情報保護法に基づいて可能)

自分の情報であっても、開示には一定の手続きが必要です。

実例:会社が個人情報を不正取得した場合のリスク

過去には、労務担当者が社員の健康診断結果や休職理由を不正に取得し、労働局から指導を受けたケースもあります。無断取得はプライバシー権の侵害となり、会社側に行政処分や損害賠償のリスクも発生します

そのため、大手企業や健保組合では、情報管理のガイドラインが厳格に定められており、勝手な照会は制度上不可能です。

まとめ

✅ 健康保険組合が保有する診療情報は、会社が勝手に取得・閲覧することはできません。

✅ 診療履歴などの医療情報は、個人情報保護法の対象であり、本人の同意がない限り、第三者への開示は禁じられています

✅ 安心して働くためにも、自身の情報に関して不明点がある場合は、直接健保組合へ確認するのがおすすめです。

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