近年、銀行の貸金庫に関心が高まっています。特に一部で発覚した貸金庫の不正事件をきっかけに、自宅保管のリスクを再認識し、あえて貸金庫を利用するという流れも見られます。しかし、実際に貸金庫の規約を読むと「現金は不可」「有価証券は対象外」といった注意書きがあり、「じゃあ何を入れていいの?」と戸惑う人も多いのではないでしょうか。今回は、貸金庫に入れてよいもの・入れてはいけないもの、そしてその活用法について詳しく解説します。
貸金庫に現金や通帳は入れていいのか?
基本的に、貸金庫には現金・通帳・証券・保険証券などの金銭的価値が直接あるものは入れてはいけないというのが、ほとんどの銀行での原則です。これは万が一の盗難・災害などで損害が出た場合、銀行側が中身を把握しておらず補償ができないからです。
ただし、実際には多くの人が通帳や印鑑を入れているのも事実です。これは“自己責任で保管する限り黙認されている”状態とも言えます。銀行によっては「通帳の長期保管は推奨しない」といった但し書きをしている場合もあります。
貸金庫に入れてはいけないもの・注意すべきもの
- 現金:万が一紛失しても補償対象外。保管目的に適さない。
- 有価証券(株券、社債、国債など):原本保管の必要がある場合は別途、信託銀行などのサービスを利用すべき。
- 通帳やキャッシュカード:盗難や不正利用リスクがあるため推奨されない。
- 危険物や食品、腐敗する物:当然ながら禁止。
特に現金については、金融庁や日銀の見解でも「貸金庫は現金保管を前提としていない」と明言されています。
貸金庫に適した保管物とは?
では、どのようなものを貸金庫に入れるのが妥当なのでしょうか。以下のような「金銭的価値はあるが頻繁に使わない、かつ代替が困難なもの」が主に適しています。
- 不動産関連の権利書(登記識別情報通知など)
- 遺言書・契約書・公正証書などの原本
- 貴金属・指輪・記念硬貨などの小型資産(ただし保険対象外である点に注意)
- USBやSDカードに保存したデータ(家族の写真、デジタル遺言など)
- パスポートの控え・印鑑証明書類(再取得の手間削減)
いずれも「紛失や盗難時に困る」「再取得が困難・不可能」なものです。家庭用金庫では火災・地震・水害のリスクがあるため、銀行の貸金庫で保管するメリットが活かせます。
実例:通帳を何度も再発行している場合の対応
質問者のように通帳をよく紛失してしまう方にとって、貸金庫での保管は一つの手段です。ただし、「通帳を頻繁に使う人には向いていない」という側面もあります。貸金庫は営業時間中しか取り出せないため、急な対応には不向きです。
おすすめは、通帳を物理的に保管するのではなく、ネットバンキングや通帳レス口座に切り替えることです。各種銀行ではアプリで履歴確認が可能になっており、再発行の手間やセキュリティ面も向上します。
貸金庫を使うかどうかの判断ポイント
- 家庭用金庫での保管に不安がある
- 災害時に耐火・耐震性能を重視したい
- 特定の書類や資産を物理的に分離して保管したい
上記に当てはまる方にとっては、貸金庫は有効な選択肢です。ただし、年間の利用料(数千〜数万円)も発生するため、コストと保管物の重要性を天秤にかける必要があります。
まとめ:貸金庫の適正な使い方を理解し、安全に活用を
貸金庫は便利で安心な保管手段ではありますが、利用規約により「現金・通帳・有価証券」は原則として非推奨・非対応となっています。とはいえ、重要書類や再発行困難な資産を保管する目的には非常に有効です。
貸金庫=万能ではなく、目的に合った使い方が肝心。自分にとって本当に必要な保管手段かを考えた上で、賢く選択しましょう。
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