うつ病などで休職し、傷病手当金を受給している間は、原則として労務不能であることが条件となります。しかし、「簡単な作業」「短時間の現金収入」であっても、場合によっては健保に発覚し、支給が打ち切られたり返還請求されるケースがあります。本記事では、その仕組みやリスク、どういった点に注意すべきかを詳しく解説します。
傷病手当金の基本と支給条件
傷病手当金は健康保険から支給される制度で、働けない間の生活保障が目的です。支給には以下の条件があります。
- 業務外の病気やけがで療養中
- 仕事に就けない状態にある
- 4日以上連続で仕事を休んでいる
- 給与等の支払いがない
つまり、「労務に就けない」ことが明確である必要があり、何らかの収入や作業があると、支給条件に反する可能性があるのです。
現金での副業はバレるのか?健保がチェックする仕組み
「現金手渡しならバレない」と思うかもしれませんが、健康保険組合は様々な情報を基に調査を行っています。以下のような経路で発覚することがあります。
- 傷病手当金申請書の医師の意見欄に「労働可能」と書かれている
- 匿名通報や第三者からの情報提供
- 市区町村の税務情報や扶養情報からの照合
- 本人のSNSやブログ、求人応募履歴などからの把握
特に最近ではSNSや副業マッチングアプリの利用情報が参照されるケースも増えており、「少額で現金」という形式でも安心とは言い切れません。
副業をするとどうなる?バレた場合のペナルティ
もし健保が副業の事実を確認すれば、以下のような措置が取られることがあります。
- 支給の打ち切り
- 過去分の傷病手当金の返還請求
- 不正受給として記録に残る可能性
また、支給停止だけでなく信用や今後の給付、保険料負担にも影響が出る場合があります。軽い気持ちで始めた副業でも、リスクは無視できません。
実際にあったトラブル事例
ある事例では、「友人の手伝いで1日だけ屋台販売をした」とSNSに投稿したことで、傷病手当金が打ち切られたケースがありました。この方は手当金約30万円の返還も命じられました。
また、家族経営の店で手伝っていたという人も、保険者から「就労と見なす」と判断され、支給停止となった例もあります。労働の意図がなくても「労務の提供」と見なされれば対象外となるのです。
どうしても副収入が必要なら?正しい手段を選ぼう
経済的に苦しく、副収入が必要な場合もあるでしょう。その場合は、まず主治医と相談し、労務可能と診断された上で、健保に正直に申告するのが原則です。
また、在宅でできる軽作業などでも、内容によっては「労務に該当しない」と認定されることもあります。事前に保険者に相談し、文書で確認を取っておくことがトラブル回避につながります。
まとめ:副業の前に確認と慎重な判断を
傷病手当金の受給中に行う副業は、たとえ現金支払いでも健保にバレるリスクがあり、その結果として支給停止や返還を求められることがあります。判断に迷ったら、医師・保険者に相談し、記録を残すことが大切です。
安心して療養生活を送るためにも、ルールを守り、慎重な行動を心がけましょう。
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