障害年金は働いていても申請できる?聴覚障害を持つ若年層が知っておくべきポイントと通過事例

年金

障害年金は「働いている=対象外」と誤解されがちですが、実際には就労の有無だけでは判断されません。特に聴覚障害のような見えにくい障害を抱えている場合、制度を正しく理解し、申請書類を適切に整えることで支給される可能性は十分にあります。本記事では、20歳で聴覚障害を持ち、障害者枠でフルタイム就労している方が障害年金を申請する際のポイントと注意点について詳しく解説します。

障害年金の基本的な仕組みと等級について

障害年金は、国民年金・厚生年金に加入している人が対象で、障害の程度に応じて1級〜3級までの等級が設けられています。障害の内容や日常生活への影響が主な判断基準であり、就労の有無だけで受給資格が決まるわけではありません。

特に20歳前に初診日がある場合、「20歳前傷病による障害基礎年金」として支給されるケースもあります。この場合、所得制限があるものの、納付要件は不要になります。

聴覚障害と障害年金の認定基準

聴覚障害においては、以下のような条件が障害等級に該当する目安となります。

  • 両耳の聴力レベルが40dB以上で、かつ日常会話に著しい支障がある
  • 補聴器を使用しても円滑な会話が困難
  • 人工内耳の装着が必要と判断されている

手帳等級と年金の障害等級は必ずしも一致しませんが、4級の聴覚障害者でも、補聴器の有効性や聴力低下の進行状況次第では認定されることがあります。

働いていると不利になる?就労と障害年金の関係

就労しているからといって、自動的に不支給になるわけではありません。大切なのは「働けるか」ではなく「日常生活にどの程度の制限があるか」です。たとえば、下記のような点が考慮されます。

  • 補聴器を用いても通話や会話が困難
  • 周囲とのコミュニケーションに常にサポートが必要
  • 職場で特別な配慮(手話通訳、チャットでの会話など)が必要

このような状況が医師の診断書や第三者の意見書に明記されていれば、就労していても障害等級に該当する可能性はあります。

申請時に重視される3つのポイント

①初診日の証明
初診日とは、障害の原因となった病気やけがで最初に医療機関を受診した日を指します。これを証明する書類(診療録など)が必要です。

②診断書の内容
医師が記載する診断書は、最も重要な資料です。日常生活能力の程度や補助具の使用状況、聴力の数値などを詳細に記載してもらう必要があります。

③日常生活の具体的な制約
通院、通勤、買い物、意思疎通などの制限を「本人・家族・同僚の証言」も交えて文書化することで、日常生活への影響が明確になります。

実際の認定事例:20代女性、人工内耳候補の申請例

東京都在住の20代女性は、両耳に高度難聴があり、補聴器を使用しても会話が困難であるため、人工内耳の装着を医師から勧められていました。障害者手帳は4級。障害枠で働いていたが、職場での会話はすべてチャットで対応していました。

医師の診断書に加え、上司の「会話が成り立たず、メール・チャットを使って業務を行っている」との文書も添えて申請し、障害基礎年金2級が認定されました。

まとめ:あきらめずに丁寧な準備を

障害年金は、就労の有無ではなく、障害の程度と日常生活の困難さが重視されます。聴覚障害の方でも、正しいプロセスと適切な資料があれば、就労中でも十分に支給対象となり得ます。

申請前には社会保険労務士に相談したり、自治体の年金相談窓口でアドバイスを受けるのも効果的です。あきらめずに、自分の権利を守るための一歩を踏み出しましょう。

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