転職をすると、給与の金額だけでなく、手取り額にも大きな変化が起こることがあります。中には「月給が下がったのに、控除が増えて手取りがさらに減った」というケースも。この記事では、給与と控除の関係や、転職直後に起こりがちな控除額増加の理由について詳しく解説します。
控除額とは何か?基本の構成を確認しよう
給与明細に記載される控除額には主に以下の4つが含まれます。
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 所得税(源泉徴収)
これらの金額は基本的に給与額・年齢・保険制度・会社の所在地などによって決まります。
なぜ月給が減ったのに控除額が増えるのか?
控除額が増える理由としては以下のような要因が考えられます。
- 健康保険・厚生年金の等級変更
→ 新しい会社が大企業や福利厚生の手厚い健保組合に加入していると、保険料率が高くなることがあります。 - 給与の計算基礎月額の見直し
→ 転職月の給与が満額でなくても、標準報酬月額が一定の等級で設定されている場合、意外と高く計算されることがあります。 - 社会保険料の二重控除
→ 月をまたいで前職と現職の保険料がそれぞれ控除された場合、重複して支払っていることもあります。
実例で見る控除額の比較
例えば以下のようなケースがあります。
項目 | 前職 | 現職 |
---|---|---|
健康保険料 | 8,982円 | 11,712円 |
厚生年金 | 16,470円 | 21,960円 |
雇用保険料 | 1,802円 | 1,338円 |
所得税 | 8,250円 | 4,700円 |
控除合計 | 35,504円 | 39,710円 |
一見して、月給が5万円以上下がっているのに、厚生年金と健康保険の負担が増加している点が大きな原因です。
社会保険料の仕組みとタイムラグ
社会保険料は「標準報酬月額」に基づいて決まりますが、これは年に1度(4〜6月の平均)で決まり、反映には2〜3ヶ月のラグが生じます。
つまり、前職の高めの報酬を基に算出された保険料が、転職後しばらく適用され続けることがあるのです。
確認すべきポイントと対応策
控除が多く感じられる場合は、以下の点をチェックしましょう。
- 給与明細で標準報酬月額がどのように設定されているか
- 健康保険証の発行元が「協会けんぽ」か「健保組合」か
- 転職月に前職でも保険料が控除されていないか
また、転職先の人事・総務に控除の内訳や保険料の決定根拠を尋ねるのも大切です。
まとめ:控除額の増加には制度的な理由がある
給料が減ったのに控除額が増える現象は、社会保険料の制度や等級の違い、転職のタイミングによるタイムラグなどが複雑に絡み合っています。
一時的なものである可能性も高いため、数ヶ月経過してから再度明細を確認し、必要があれば会社や保険組合に相談してみましょう。
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