社会保険から支給される傷病手当金は、病気やケガで仕事を休んだ際の生活を支える大切な制度です。しかし、いざ受け取るとなると「これって収入になるの?」「税金や扶養にどう影響するの?」といった疑問を持つ方も少なくありません。本記事では、傷病手当金が「収入」とみなされるかどうかを、さまざまな観点からわかりやすく解説します。
傷病手当金とは?その目的と基本的な仕組み
傷病手当金は、健康保険に加入している被保険者が、業務外の病気やケガで働けなくなった場合に、会社からの給与が支給されない期間の生活を保障するために支給される給付金です。
支給額は、標準報酬日額の3分の2(最大で1年6か月)で、給与所得ではなく非課税所得として扱われます。そのため、税務上の「課税所得」には含まれません。
税金上では「収入」扱いされるのか?
まず結論から言うと、傷病手当金は税金上の「収入」とは見なされません。給与所得とは異なり、非課税扱いとなっており、確定申告の対象にも原則として含まれません。
ただし、他の収入と合わせた場合には「世帯の収入」として考慮されるケースがあるため、特定の制度(例:就学支援金や住民税非課税判定など)では収入に準じて扱われることがあります。
扶養判定に影響する可能性は?
扶養判定においては、傷病手当金の扱いが制度によって異なるため注意が必要です。たとえば、健康保険上の扶養では、傷病手当金も「収入」とみなされ、被扶養者認定の判断材料となる場合があります。
一方、税法上の扶養控除では非課税所得のため、扶養対象者の年間所得が48万円以下かどうかの判定には含まれません。
公的支援・制度への影響は?
自治体の生活支援制度や児童手当の所得制限、就学支援金の受給要件などでは、「収入」として扱われるかどうかが制度によって異なります。事前に申請先の自治体や機関へ確認することが重要です。
実例として、ある自治体では住民税非課税世帯に該当するかの判定に傷病手当金を含めていませんが、別の自治体では世帯収入として加味しているケースもあります。
確定申告や手当の申請時に必要な対応
傷病手当金は原則、確定申告において申告不要ですが、医療費控除など他の申告要件と併用する場合には、申告書内に備考欄などで記載しておくとトラブル防止につながります。
また、育児休業給付金や失業給付と同様に、明細を保管しておくことも大切です。自治体の補助申請などで収入証明が求められた場合に備えておきましょう。
まとめ:傷病手当金は「非課税収入」だが用途によって扱いが異なる
傷病手当金は所得税や住民税上では「収入」に含まれず非課税ですが、扶養判定や行政の補助制度、保険加入条件などでは「収入」としてみなされることがあります。
そのため、「収入かどうか」の判断は制度ごとに異なり、使う場面に応じて都度確認することが重要です。収入扱いになるか不明なときは、関係機関に確認することをおすすめします。
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