ハンドメイド作家として活動している方の中には、配偶者の扶養に入りながら副業として作品を販売している方も多いのではないでしょうか。そこで気になるのが、売上と扶養範囲の関係。この記事では、自営業(ハンドメイドなど)での収入と扶養の判定基準について、わかりやすく解説します。
扶養の判定は「所得ベース」で見るのが基本
扶養に入れるかどうかの判断は「年収」ではなく、「所得」を基準とすることが一般的です。ここでいう所得とは、売上(収入)から経費を引いた金額のことを指します。
たとえば、ハンドメイド作品の売上が年間200万円あったとしても、材料費や発送費などの必要経費が120万円かかっていれば、所得は80万円です。この場合、扶養の判定基準である「所得が年間48万円以下(令和5年現在)」を超えるため、扶養から外れる可能性が出てきます。
「収入」と「所得」はまったく違う意味
自営業の場合、「年収=収入」と「所得」は混同されがちですが、両者は明確に違います。収入は売上全体、所得はそこから経費を引いた実質的な儲けを指します。
たとえば、売上150万円で経費が110万円なら、所得は40万円になります。この場合、国民年金の第3号被保険者として扶養内にとどまることができるケースもあります。「扶養内で働く」ためにはこの違いの理解が非常に重要です。
扶養範囲と健康保険・年金の取り扱い
扶養の考え方には、税法上と社会保険上の2種類があります。特に社会保険(健康保険・厚生年金)においては、年間の所得が130万円未満(または年収ベースで180万円未満程度)であれば扶養に入ることが可能です。
ただし、地域の健康保険組合や保険者によって解釈が異なる場合もあるため、最終的な判断は配偶者が加入している保険者に確認するのが確実です。
年末調整の「見込み所得」欄の記載はどうする?
年末になると、配偶者の勤務先から「配偶者控除申告書」や「見込み所得の記入用紙」が送られてくることがあります。このとき、自営業の方は「所得ベース」で記入し、その横に「自営業のため所得ベースで記載」などの注釈を入れると親切です。
実際の所得が見込みより上下する場合は、確定申告後に申告内容の修正が求められるケースもあります。
実例:ハンドメイド作家Aさんのケース
東京都在住のハンドメイド作家Aさんは、年間の売上が約180万円。材料費やイベント出展費などを差し引いた所得は45万円でした。このため、配偶者の社会保険上の扶養内にとどまることができ、保険料負担もなく活動を続けています。
逆に、売上が増えたBさんは所得が55万円を超え、扶養から外れることに。その後は国民健康保険と国民年金に個別で加入しました。
まとめ:扶養の判断は「所得」と保険者への確認がカギ
ハンドメイドなどの自営業でも、適切に経費を管理し「所得ベース」で把握していれば、扶養内で活動を続けることは可能です。ただし、保険者や勤務先によって基準や判断が異なるため、都度確認しながら、記載内容は正確に記入することが大切です。
扶養の仕組みを理解して、安心してクリエイティブな活動を続けていきましょう。
コメント