アルバイトの掛け持ちと社会保険の加入条件:週20時間以上勤務はどう扱われる?

社会保険

複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、社会保険の加入義務がどのように判定されるかは少し複雑です。特に、片方の勤務先で週20時間を超えるケースや、複数の勤務時間を合算した場合など、判断に迷う方も多いでしょう。今回は、掛け持ちアルバイトにおける社会保険の加入条件と、それに伴うメリット・デメリットについて詳しく解説します。

社会保険の基本ルール:加入義務があるのは1つの勤務先

社会保険(健康保険・厚生年金)は、「原則として一つの事業所での勤務が基準」です。たとえば、Bのアルバイトで週24時間勤務しており、他の加入要件(勤務期間が2か月超見込み、賃金月額8.8万円以上、従業員101人以上など)を満たす場合は、Bの事業所で社会保険に加入する必要があります。

一方、Aのアルバイト(週16時間)で要件を満たさない場合、その事業所では社会保険加入の対象にはなりません。したがって、2つの事業所を合算して判断することは原則ありません。

複数の勤務先を合算するケース:例外もある

ただし、「短時間労働者の社会保険適用拡大」によって、一部例外的に合算が考慮されることがあります。たとえば、社会保険の適用拡大で、一定の条件下にある複数の勤務先で働いている人(いわゆる「複数事業所勤務者」)が、特例的に合算対象になるケースです。

しかしこの場合も、基本は各事業所ごとに判断され、加入が必要なのは1社のみとなります。合算の扱いになるかは個別判断となるため、年金事務所や勤務先の人事・労務担当者に確認するのが安全です。

社会保険に加入するメリットとは?

社会保険に加入することで、将来の年金受給額が増えるほか、傷病手当金や出産手当金などの保障制度も受けられます。また、会社が保険料の半分を負担してくれるため、自営業やフリーランスと比べて負担が軽いというメリットがあります。

たとえば、月収が11万円のアルバイトで社会保険に加入した場合、本人負担は約15,000円程度ですが、老後の厚生年金額や各種給付金制度を考えるとコストパフォーマンスは高いと言えます。

デメリット:手取りの減少に注意

一方で、社会保険に加入すると手取りが減るというデメリットもあります。保険料は給与から天引きされるため、実際に使えるお金が少なくなると感じる方も少なくありません。

また、扶養に入っていた場合は扶養から外れ、自分で保険料を支払う必要があるため、家計全体で見ると負担増となる可能性もあります。

具体的なシミュレーション:AとBを合算した場合

たとえば、Aのアルバイトが週16時間(時給1,100円)、Bのアルバイトが週24時間(時給1,200円)だとすると、月収はAで約7万円、Bで約11万円、合計で18万円弱になります。Bの勤務先のみが社会保険対象と見なされ、そこでのみ保険料が天引きされるケースが一般的です。

Aの勤務先では社会保険料の徴収もなく、健康保険証も発行されません。通院などはBの保険証を使って医療を受けることになります。

まとめ:掛け持ちでも加入義務は1社だけ

アルバイトを掛け持ちしている場合でも、社会保険の加入義務は1つの事業所単位で判断されるのが原則です。勤務時間や給与が一定の条件を満たせば、掛け持ちのうちの1社で社会保険に加入することになります。

複数社合算での加入は基本的に行われず、例外的な取り扱いとなります。加入義務やメリット・デメリットを正しく理解し、自身の働き方にあわせた選択をすることが重要です。

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