転職活動や引越しなどで慌ただしい時期に、思わぬ体調不良で病院を受診することは誰にでも起こり得ます。もし保険証が手元にない状態で医療機関を利用した場合、自費で支払った医療費は後から返金されるのでしょうか?この記事では、保険証がないまま診療を受けた場合の返金手続きと、転職先の保険証の利用が可能かどうかについて詳しく解説します。
保険証がない状態で受診した場合の扱いとは
健康保険の加入者であっても、保険証の交付が遅れている場合、やむを得ず10割負担(全額自己負担)で医療機関を受診するケースがあります。このとき、あとから保険証を提示することで、自己負担分の7割程度が返金される可能性があります。
この制度は「療養費の支給申請」として健康保険法に基づくもので、保険加入者であることを証明できれば、後日申請により差額が払い戻されます。
転職前後の期間に受診した場合の保険証の扱い
退職後、次の就職先に加入するまでの間に医療機関を受診した場合、原則としてその時点で有効な保険に基づく手続きが必要です。
たとえば、5月末に退職し、7月から新しい職場に就職する場合、6月の間に医療を受けた際は、国民健康保険または任意継続被保険者(前職の健康保険)としての申請が必要です。7月以降の健康保険証では6月の受診分の返金手続きはできない可能性が高いです。
返金を受けるために必要な手続きと書類
療養費の支給申請には、以下の書類が必要です。
- 診療費の領収書・明細書
- 健康保険証の写し(その期間に有効なもの)
- 申請書(加入している保険組合または市区町村の窓口で取得)
- 本人確認書類・口座情報
申請先は、加入している保険の種類によって異なります。国民健康保険であれば市区町村役場、職場の健康保険であれば協会けんぽや健康保険組合が窓口となります。
7月からの健康保険証を使って返金できる?
重要なポイントとして、医療費の支給申請は「その時点で加入していた保険に対して行う」必要があるため、7月から加入する転職先の健康保険証では、5月~6月の医療費返金手続きは基本的に認められません。
つまり、保険証が未発行であっても、退職後の期間については「国民健康保険に加入していた」という前提で申請する必要があります。早めに市役所などで手続きを済ませることが重要です。
ケース別:転職活動中に医療を受けた場合の対応例
例①:5月末退職→6月中に医療受診→7月から再就職
→この場合、6月の医療費については国民健康保険への加入手続きをして、市区町村へ療養費支給申請を行う必要があります。
例②:退職後に任意継続に切り替えていた→任意継続の保険証を取得後、保険者へ返金申請
まとめ:保険証なしの受診は後日返金も可能だが、適切な保険への加入が必須
転職や引越しの合間に発生した受診に関しても、適切な手続きと加入実績があれば医療費の返金は可能です。ただし、加入していた保険に対して手続きを行う必要があるため、早めの国保加入や任意継続の選択が重要です。
領収書や明細書は大切に保管し、可能であれば医療機関の指示や保険窓口への相談も併せて行いましょう。
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