生活保護を受給している中で、自由診療に該当する高額な治療を受けたいと考える方は少なくありません。特に歯科医療の分野では、保険適用外となるインプラントやセラミック治療を必要とする事情もあります。ここでは、生活保護制度のルールを踏まえながら、医療ローンやクレジットカードの利用、実際に取れる可能性のある対応策についてわかりやすく解説します。
生活保護制度における自由診療の位置づけ
生活保護制度では、原則として医療扶助によって保険診療は全額支給されますが、自由診療(インプラントや美容目的など)は対象外となります。そのため、自由診療の費用を自費で賄うことになります。
仮に医療的に必要な治療であっても、保険適用外の処置である限り、生活保護の範囲では負担されません。
医療ローンの利用は可能か?
医療ローンとは、クリニックと提携している信販会社を通じて治療費を分割で支払う制度です。しかし、生活保護受給者はローン契約そのものが原則禁止されています。これは、返済義務のある債務を新たに発生させる行為が生活保護の目的と相反するためです。
例外として、保護課と相談したうえで「やむを得ない理由がある」と判断された場合には、非常に限定的に認められることもありますが、実際には極めて稀です。
クレジットカード払いは可能か?
生活保護開始前に保有していたクレジットカードを使うこと自体は禁止されているわけではありません。しかし、保護費から支払う前提で利用するのは制度上の不正使用と見なされる可能性があります。
たとえば楽天ピンクカードなどで自由診療費を分割払いした場合、毎月のカード引き落としは「ローン返済」とみなされ、後に問題となるリスクが高いです。
行政と歯科の連携による特例措置の可能性
DV被害など、身体的な被害が原因で健康に著しい悪影響がある場合、保護課・医師・ケースワーカーが連携して、例外的な補助が検討されるケースもあります。
たとえば、咀嚼機能の回復が生活維持に不可欠であり、保険内治療では対応困難である旨の診断書を医師が出し、保護課が認めた場合には、保険外治療の一部が認められた事例も報告されています。
可能性のある現実的な代替手段
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市区町村の福祉相談窓口に相談し、「生活維持のための例外申請」が可能か確認する
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大学病院や公的医療機関で、保険適用内に近い条件で対応できないかを検討する
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歯科技工士の訓練機関等でモニター治療として安価に受けられる制度の有無を確認
まとめ:安易なローン契約より、行政との協議を
生活保護受給中は、借金やローン契約、クレジットカード払いなどは制度上非常にグレーもしくはNGとなる可能性が高いです。特に自由診療に関しては、まず行政・医師・歯科医師と相談し、例外的な支援や低価格治療の可能性を探ることが最も現実的なアプローチです。
不正受給とならないよう注意しつつ、安心して治療を受けるための選択肢を丁寧に検討していきましょう。
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