毎月の給与明細を見ていて、「6月だけ住民税が急に高くなった」と驚いた経験はありませんか?たとえば通常は900円なのに、6月だけ16,000円になることも。これは間違いやトラブルではなく、実は多くの人に共通する仕組みによるものです。本記事では、6月の住民税が高くなる理由とその背景を、専門家の視点で丁寧に解説します。
住民税は6月から新年度に切り替わる
住民税は前年の所得をもとに計算され、翌年の6月から翌々年の5月までの1年間で支払うしくみになっています。このため、6月に初めて新しい金額の住民税が給与から引かれるようになります。
例えば2023年1月〜12月の所得に応じた住民税は、2024年6月から2025年5月まで分割して支払う形です。この切り替え初月である6月は「住民税の初回徴収月」にあたり、金額が大きくなるケースがあります。
6月だけ高くなる理由:「特別徴収の初月徴収」
会社勤めの方の場合、住民税は「特別徴収」という形で給与から毎月自動的に差し引かれます。6月はその徴収の初月であるため、以下のような理由で一時的に金額が高くなることがあります。
- 住民税の新年度分の徴収が始まり、額が前年より増えている
- 5月までの住民税が軽減されていた(前職の収入が少なかった、非課税だった など)
- 6月に1年分の税額が一括徴収される設定になっている(自治体による例外的処理)
結果として、前年より大幅に所得が増えた場合や、これまで住民税が発生していなかった人ほど、6月に大きな変動が起こるのです。
給与明細で確認できるポイント
もし「6月だけやたら高い?」と感じたら、給与明細の以下の項目をチェックしてみましょう。
- 住民税の欄に「6月分」以外の記載(年額一括分や初月調整など)がないか
- 源泉徴収票と比較し、前年の所得と照らし合わせてみる
- 5月までの住民税が少額またはゼロだったか
また、勤務先が変更になっている場合は、前職の給与からは住民税が引かれていなかった可能性もあります。そうした場合は現職でまとめて徴収されることがあります。
例外:普通徴収の場合や副業・自営業者
会社を通さずに住民税を納める「普通徴収」の場合、自分で納付書により支払います。この場合は6月・8月・10月・翌年1月の年4回に分けて納めることになります。
副業で確定申告をした人などは、副業分のみ普通徴収になることもあり、その分が6月にまとまってくるため高額に見える場合があります。
一時的な金額増加への対処法
6月の住民税が高額になることを知っていれば、あらかじめ準備しておくことができます。例えば。
- 6月に向けて1〜2万円程度の積立を毎月行っておく
- 住民税の明細(特別徴収税額決定通知書)を会社や自治体から確認する
- 副業や臨時収入は年末までに調整する
いきなり高額な住民税に驚かないよう、給与明細を定期的に確認し、変化に気づける習慣を持つことも大切です。
まとめ:6月の住民税が高くなるのは仕組み上の仕様
6月の住民税が他の月より高くなるのは、特別徴収の初回や前年所得の反映、または納税方法の違いによるものです。特に大きな変動がある場合は、前年の所得増や前職との兼ね合いを疑いましょう。
慌てず、給与明細や市区町村からの通知を確認することが、納得して税金を納める第一歩です。
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