所得控除制度の中で、「ひとり親控除」と「寡婦控除」は混同されがちですが、対象や要件、適用のタイミングが異なります。特に離婚後に子どもを育てていた方にとって、子どもの独立後にどう扱われるのかは気になるポイントでしょう。本記事ではその違いや市県民税への影響も含めて、丁寧に解説します。
「ひとり親控除」とは何か?
ひとり親控除は、未婚・離婚・死別などにより配偶者がいない人で、子どもを扶養している人が対象になります。年収や子どもの有無によっても要件があります。
具体的には、合計所得金額が500万円以下で、扶養親族(子ども)が1人以上いることが条件です。
ひとり親控除の適用が終了するタイミング
子どもが大学を卒業し就職、または成人し扶養から外れることで、翌年の確定申告からひとり親控除の対象外となります。
このタイミングではじめて、「寡婦控除」への切り替えが検討されることになります。
寡婦控除とは?どんな人が対象?
寡婦控除は、夫と死別または離婚した後、再婚していない女性が一定の条件を満たした場合に受けられる所得控除です。
要件は以下の通りです。
- 扶養親族がいない場合でも、所得が500万円以下であること
- 扶養親族がいる場合は寡婦控除(27万円)または特別寡婦控除(35万円)の適用あり
市県民税における寡婦控除の適用
市県民税でも寡婦控除が設けられており、所得税の寡婦控除と同様に27万円(特別寡婦控除は35万円)が控除されます。
自治体によって控除額に差異はほぼありませんが、申告が必要な場合があるため、居住地の市区町村に確認することが大切です。
具体的な控除の切り替え例
例:2021年まで娘を扶養していたAさんは、2022年に娘が就職し、扶養から外れました。2023年分の確定申告からはひとり親控除は適用されず、寡婦控除へ切り替わります。
この場合、2023年6月に納める住民税からは寡婦控除が適用される可能性があります。
ひとり親→寡婦へ自然に切り替わるのか?
基本的には、所得税では確定申告・年末調整の際に自動的に切り替わるケースが多いです。ただし、勤務先が適切に情報を処理していない場合や、個人事業主などの場合は申告が必要です。
また、市町村民税についても、自動では反映されないケースがあるため、確認と申告をおすすめします。
まとめ:ひとり親控除から寡婦控除への移行と備え
お子さまの成長とともに税制上の控除は変化します。ひとり親控除は子の扶養が前提ですが、寡婦控除は婚姻歴と所得が要件となります。
控除の適用があるか不明な場合は、確定申告時や市役所・税務署での相談を活用し、過不足のない控除を受けるようにしましょう。
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