まとまった資金を相続対策として有効に活用したいと考える方にとって、保険商品や元本保証型の金融商品は有力な選択肢です。今回は、かんぽ生命の「つなぐ幸せ」などの一時払終身保険を中心に、類似する他の選択肢やその利回り・活用方法を比較しながら解説します。
かんぽ生命「つなぐ幸せ」とは
「つなぐ幸せ」は、一定額を一括で支払う一時払終身保険で、満期までに死亡した場合には設定された保険金が支払われます。相続対策に利用されることが多く、保険金は非課税枠(500万円×法定相続人の数)を活用することができます。
例えば、56歳の方が保険料として1000万円を一括で支払い、60歳時点での基準保険金額が900万円(マイナス100万円)という内容であれば、利回りとしては低めですが、死亡保障と税制優遇を重視した商品といえます。
相続目的に使える他の元本保証型商品
保険以外でも、元本保証を条件とするなら以下のような選択肢があります。
- 定期預金(大手銀行・ネット銀行)
- 個人向け国債(変動10年)
- 外貨建て保険の円建オプション(為替リスクをカバー)
特に、個人向け国債(変動10年)は元本保証かつ年0.3%〜0.5%前後の利率で推移しており、途中解約も1年後から可能。相続時の換金性も高いため選ばれるケースが増えています。
一時払終身保険のメリットと注意点
このタイプの保険の大きなメリットは以下のとおりです。
- 相続税の非課税枠を活かせる
- 保険金は確実に受取人に渡る(遺産分割の対象外)
- 銀行口座と違って死亡直後でも凍結されない
一方で、利回りはほとんど期待できず、解約返戻金が大きく減額される場合もあります。短期的に資金を引き出す可能性がある方には不向きです。
他社の終身保険との比較
「つなぐ幸せ」に類似する商品は複数の保険会社からも出ており、例えば以下のようなものがあります。
- 住友生命「たのしみ未来」:解約返戻金の戻り率が比較的高い
- 第一生命「しあわせ、ずっと」:外貨建てとの組み合わせも可能
- オリックス生命「ライズ」:60歳以上に特化した設計
いずれも保険金額や返戻金、死亡保障のバランスに違いがあるため、複数の保険会社から見積もりを取るのが得策です。
株などリスク資産を保有している人におすすめの組み合わせ
ご質問のように、すでに投資(株式など)を行っている場合、リスク資産とのバランスとして元本保証型を組み込むことはとても理にかなっています。
一時払終身保険を相続対策用に1本、加えて個人向け国債を一部に分けることで、リスクと流動性の両面に対応する構成が可能です。
まとめ:元本保証+税制優遇をうまく活用
かんぽ生命の「つなぐ幸せ」は、相続対策・税制優遇を目的とした選択肢としては十分に活用価値のある商品です。ただし、利回りや資金の柔軟性という点では、個人向け国債や他社の終身保険も検討すべきです。
1000万円という大きな資金を1つの商品に集中させるのではなく、目的ごとに分散させることでリスクも分散され、より安定した資産承継が可能となります。
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