国民健康保険に未加入の状態で医療機関を受診すると、医療費を一時的に10割(全額)自己負担しなければならないケースがあります。しかし、後から保険に加入した際に「過去に支払った医療費は戻ってくるのか?」という疑問を持つ方も少なくありません。実は、一定の条件を満たせば払い戻しを受けることが可能です。本記事ではその仕組みや注意点を解説します。
あとから保険証を取得した場合の医療費は戻るのか?
国民健康保険の加入が遅れた場合でも、さかのぼって保険料を支払った上で資格取得日が過去の日付として認定されれば、その期間中に支払った医療費の一部(7割相当分)を還付してもらうことができます。
ただし、これは「償還払い」という手続きが必要で、加入時に自動で戻るものではありません。必ず自身で申請する必要があります。
償還払いの制度とは?
償還払いとは、本来なら保険適用となるはずの医療費をやむを得ず10割負担で支払った場合に、後日差額分を請求できる制度です。
対象となるのは「保険資格が認定された期間内」の医療費で、申請時には領収書や診療明細書などの提出が求められます。申請期限も原則2年以内と定められており、早めの対応が必要です。
具体的な手続き方法
償還払いを希望する場合は、以下のステップで進めます。
- 市区町村の国保窓口へ相談
- 「療養費支給申請書」の提出
- 領収書・診療明細・本人確認書類・振込先口座情報などの提出
自治体によって提出書類が異なる場合があるため、事前に問い合わせて確認しておくと安心です。
注意点:必ずしも全額が戻るとは限らない
償還払いでは医療機関ごとに審査が行われ、必ずしも全額が戻るとは限りません。たとえば健康保険適用外の治療費や差額ベッド代、文書料などは対象外となります。
また、所得状況や保険料未納がある場合には、還付対象から除外されることもあるため、支払い状況の確認も重要です。
実際の例で見る償還払いの流れ
例:Aさんは2023年5月に体調を崩して病院で治療を受け、10割負担で医療費を支払いました。2023年8月に国民健康保険に加入し、5月にさかのぼって資格が付与されました。その後、病院の領収書と必要書類を持参し償還払いを申請。審査の結果、医療費の7割が約2か月後に指定口座へ振り込まれました。
まとめ:あとから加入しても諦めずに手続きを
国民健康保険に遅れて加入した場合でも、過去の医療費については「償還払い」で7割分が戻る可能性があります。重要なのは「保険資格がさかのぼって認定されているか」と「早めに申請を行うこと」です。
領収書は捨てずに保管し、迷ったら市区町村の国保窓口へ相談しましょう。制度を正しく活用することで、大きな負担軽減に繋がります。
コメント