障害年金を受給している方の中には、体調が少し安定してきたことをきっかけに、少しずつ働き始める方もいます。しかし「働くことで年金が止められるのでは?」と不安になる方も多いでしょう。今回は、障害基礎年金を受給しながら働く場合の影響や、更新時のポイントについて解説します。
障害基礎年金の更新とは何か?
障害基礎年金は一度受給が決定しても、定期的に「障害状態確認届(診断書)」を提出して更新審査を受ける必要があります。一般的に、更新のタイミングは「1年〜5年に1度」とされ、個人の障害の程度によって期間が異なります。
この診断書によって障害の状態が軽減されたと判断された場合、支給停止や等級変更になる可能性があります。
年金の更新時に収入状況は見られるのか?
基本的には障害年金の更新では「障害の状態」が最も重視され、市役所などに直接収入確認を行うことは多くありません。しかし、就労の事実や収入状況が診断書や就労状況申立書などから把握されるケースもあります。
例えば、診断書の「日常生活能力」や「労働能力」の欄に「就労可」や「現在勤務中」などと記載されていると、医師の見解として働けている=状態が良くなった、と判断される可能性があるのです。
就労の事実はどこで分かる?
診断書とは別に、「就労状況申立書」の提出を求められることがあります。この書類で、勤務時間や業務内容、職場の配慮内容などを申告します。
また、年金機構が市区町村へ収入照会することは原則ありませんが、提出書類に記載があれば当然ながら情報として扱われます。さらに、障害年金の更新時には税務情報や住民税課税状況が補助的にチェックされることもあります。
働きながら受給する場合に気をつけるポイント
- 主治医には正直に状況を伝える:働いていることを伏せたまま診断書を出すと、後で不整合が問題視される可能性があります。
- 職場の配慮内容を明確に記す:たとえば「急な欠勤可」「業務負担軽減」などがあれば、症状の重さと整合性が取れます。
- 収入はあくまで補助的情報:働いている=すぐに打ち切りというわけではなく、障害の程度と就労状況のバランスが見られます。
実際のケース:週15時間の勤務はどう影響する?
軽躁期に週15時間程度の就労を行っている場合、就労状況申立書で「時短勤務で体調により変動あり」や「職場の大きな配慮がある」などと記載されれば、障害状態と矛盾しないと判断されることもあります。
しかし、就労が常態化しており、職務内容も責任あるものであると判断されると、次回更新時に注意が必要になることがあります。
まとめ:正直な申告と記載の工夫が重要
障害基礎年金の更新において、市役所が積極的に収入を照会することは一般的ではありませんが、提出する診断書や就労状況申立書で就労の実態が判断される可能性があります。
したがって、就労する場合には主治医との十分な相談と、現実に即した情報の記載が何より重要です。働くこと自体は否定されるものではないため、過度に恐れず、正確な対応を心がけましょう。
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