働き方が多様化する中で、複数の会社に勤めている人も少なくありません。そんなときにふと疑問に思うのが「保険証はどうなるの?」という点です。この記事では、兼業・副業をしている場合の健康保険の扱いや注意点を、具体例を交えてわかりやすく解説します。
保険証は原則1枚だけが発行される
日本の社会保険制度において、健康保険証は基本的に“1人1枚”です。たとえ複数の勤務先で社会保険に加入できる条件を満たしていても、実際に加入するのはいずれか1つの健康保険制度のみとなります。
例えば、週30時間以上勤務していて社会保険の加入対象となるA社と、短時間勤務のB社の2社で働いている場合、主たる勤務先(原則として収入が多い方)で健康保険に加入し、その保険証を使うことになります。
「どちらの会社でも社保に入れる場合」はどうする?
両方の会社で健康保険の加入条件を満たしている場合は、加入先を選べるわけではなく、年金事務所などが「どちらを主たる事業所とするか」を判断し、主たる勤務先での健康保険に加入することになります。
この際、考慮されるのは以下のような要素です。
- 収入が多い勤務先
- 労働時間が長い勤務先
- 雇用契約の継続性
結果として選ばれた側の会社の健康保険組合に加入し、もう一方では社会保険料を支払わない扱いになります。
副業先で「保険証が欲しい」と言われたら?
副業先で「保険証のコピーが必要です」と言われることがありますが、これは雇用契約の確認や給与計算の参考にするためのケースが多く、必ずしも加入を求めているわけではありません。主たる勤務先で取得した保険証のコピーを提示すれば問題ありません。
ただし、契約形態や勤務時間によっては副業先でも社会保険加入義務が生じる場合もあるため、事前に就業条件を確認しておくと安心です。
国民健康保険との違いは?
どの勤務先でも社会保険に加入していない場合や、フリーランスとしての収入がメインの場合は、国民健康保険に加入することになります。こちらは市区町村が運営する保険制度で、収入に応じた保険料を自分で納付するスタイルです。
会社に所属する人は基本的に企業の健康保険に加入することになるため、兼業でも企業勤務がメインであれば国民健康保険を選ぶことはできません。
実際の事例:WワークしているAさんの場合
週5日フルタイムでA社に勤務し、週2日でB社でも働いているAさんの場合、A社で社会保険に加入しているため、B社では社会保険料は発生しません。保険証はA社のもの1枚のみです。
一方、週3日ずつ2社で働き、それぞれの収入や勤務時間がほぼ同等の場合、どちらの会社の健康保険に加入するかは年金事務所の判断に委ねられることになります。
まとめ:兼業でも保険証は1枚、主たる勤務先がカギ
兼業や副業をしている場合でも、健康保険証は基本的に1枚です。加入先は原則として収入が多い主たる勤務先になります。副業先でも加入条件を満たす場合は判断が必要になるため、疑問がある場合は人事担当や年金事務所に早めに相談するのがベストです。
複数の収入源がある今の時代だからこそ、自分の社会保険の扱いをしっかり把握しておくことが重要です。
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